ペーパードライバー歴4年、北海道で運転してたらいきなり鹿が飛び出してきて以来クルマを運転するのがトラウマになり、ペーパードライバーになってしまった後藤さん。
前回、アルパインDriveゼミナール編集部のペーパードライバーの中で栄えあるキング・オブ・ペーパードライバーの座に輝いてしまいました。
クルマ好きの常識をくつがえす。絶対に運転させたくないペーパードライバー王決定戦in編集部
そして今回、その罰ゲームとして、ペーパードライバー講習を受けてもらうことになりました。
今回お世話になるのは、神奈川県は小田原市にある「小田原ドライビングスクール」。緑が豊かで落ち着いたこの環境なら、後藤さんものびのびと運転を楽しめるはず!
後藤 ほんとに行くの?
―ここまで来て何を言ってるんですか?早く行きますよ!
後藤 昨日仕事も遅くまでやってたし久々の運転だなとか思うとなんかいろいろ考えちゃって北海道のときみたいに鹿とかはまぁ出てこないと思うけどそれでもなんとなく心配だしそう考え始めるとあんまり寝られなくてうんぬんかんうん…
―はい、行きますよ(圧力)
後藤 (泣)
【参加費5,000円〜】自身の苦手なところをプロと一緒に復習できるペーパードライバー講習
教習所内に入ると、早速受付のお姉さんに必要書類を渡され、この場で受講料5,000円を支払います。なお入校料等は必要なく、今回のペーパードライバー講習でかかるお金はこの金額のみとなります。
後藤 意外と安くて助かった…!なんてったって実費だし…
そうつぶやくと後藤さんは、黙々と書類を書き始めました。必要事項を記入し終わると、後ろにアンケートが。
―この、「プライベートで使えるヤーツ」ってどういうことですか?
後藤 いやなんか都会運転するのって怖いけど、これを機に運転ができたらなって思って。そしたら彼女に自慢できるしドライブいけるし…
―では、プライベートで乗れるように運転がんばりましょう!
緒方 はじめまして。小田原ドライビングスクールの緒方です。後藤さん、本日はなぜペーパードライバー講習を受けようと思ったんですか?
後藤 ちょっとワケありでして…
緒方 何か深いワケがありそうですが、今回の講習では、交通法規など基本的な運転のルールを思い出してもらうことに加え、ご自身とクルマが一体となるためのコツをお教えします。
後藤 自分とクルマが一体となる?
緒方 そうです。「クルマに乗る」というと、クルマという大きい箱の中に自分が入るというイメージがありますが、クルマを自分の手足のように、自らの体の延長として操るというイメージになってもらいます。
後藤 …なんだか大変そうですけど、精一杯がんばります。
キーワードは「感覚を根拠に変える!」自分とクルマを一体化する方法
そして講習開始。本日後藤さんを担当するのは、こちらの下澤先生。
下澤 それではペーパードライバー講習、はじめていきたいと思います。
後藤 よろしくお願いします!
下澤 今日、後藤さんには「感覚を根拠に変える」という意識をぜひ持ち帰っていただきたいと思っております。
後藤 「感覚を根拠に変える」、ですか?
下澤 はい。よくクルマの運転の話をしていると「感覚」という言葉を頻繁に聞くことが多いと思います。しかし、その「感覚」というのは人によってマチマチなんですよね。
そうした曖昧な感覚に頼りすぎた結果、事故が起こってしまうんです。例えば、曲がれると思って曲がったんだけど、ポールにぶつかっちゃったりとか。
この時、何を思って「曲がれる」と思ったのか。闇雲に「感覚」で運転するのは危険です。
今日は「感覚」にきちんとした「根拠」や「基準」を持たせてあげて、実際の現場に結びつけてもらえるような講習にしていきたいと思います。
後藤 なるほど!なんだかとても興味が出てきました!
下澤 では、後藤さん。進路変更をする際、いつウインカーを出すべきなのか覚えていますか?
後藤 進路を変える…だいぶ前だったのは覚えてるんですが…。
下澤 基本的には3秒なんです。
後藤 感覚的に5秒くらいかと思ってました。
下澤 惜しいですね(笑)ウインカーの点滅の回数というのは、実は保安基準で決まっています。その保安基準に則ると、概ね3秒=3回の点滅です。なので、ウインカーを出して3回音が鳴ったら、進路を変えはじめます。
下澤 これもやはり先程の「感覚を根拠に変える」に近いんですが、こうしたルールや知識があるだけで、自然と正しいタイミングで進路変更をすることができるというわけです。
闇雲にただ合図を出すだけでは伝わらないので、この3秒のルールはぜひ覚えておいてください。
後藤 たしかに進路変更って、ウインカーをどのタイミングで出せばいいのかわからなくって。かつて運転していた頃は勘でやってましたけど、これからは3回きちんと鳴らしてから曲がるようにします。
いよいよ実車!「アクセル=右のタイヤの位置」を意識せよ!
下澤 それでは、まずは慣れてもらうために1周してみましょう。
後藤 うわうわ!!動いた!!
下澤 落ち着いてゆっくりでいいのでぐるぐる外周してみましょう。
後藤 ほんと、久しぶりだな〜
後藤 おおお〜…おお〜〜
下澤 後藤さん?
後藤 はい?
下澤 いま自分が道路のどこを走ってるかわかりますか?
後藤 真ん中…のつもりなんですけど。
下澤 それが実は真ん中じゃないんですよ。
後藤 !?
下澤 このようにセンターライン、つまり右側に寄りすぎてしまっていて、助手席から見ると路肩との間に距離があるんです。あまり右に寄り過ぎると、対向車と正面衝突してしまう恐れがあります。
後藤 それは危ないですね…。どうしても右に寄ってしまうのですがどうしたらいいのでしょうか?
下澤 確かに運転に慣れてない方だと、どちらかに寄りすぎてしまうことがあるんですよ。ご自分がいまどこを走っているのかよくわかっていない。実は、これにもある感覚を根拠にすることで解決できます。
後藤 と、言いますと?
下澤 実は「アクセルを踏む自分の足=右のタイヤの位置」なんです。なので運転席から見て、自分が道路の真ん中を走っているようなイメージで走ると、左側との距離もちょうど良くなるんです。
下澤 およそこんな感じで道の真ん中を通っていきます。言ってしまうと、道路で踏みたくないものがあったら、右足で踏まなければいいのです。なぜなら「アクセルを踏む自分の足=右のタイヤの位置」だから。それでは、運転してみてください。
後藤 最初におっしゃってた「感覚を根拠に変える」が、なんとなくわかってきました。
「ハンドル=クルマの大きさ」?ハンドルに伸びる自分の腕を基準に車幅を理解する
下澤 後藤さん。クルマが右左折する前にするべきことってなんだかわかりますか?
後藤 曲がりたい方向にクルマを寄せる、ですよね?
下澤 素晴らしい、その通り。しかし、曲がりたい方向へクルマ寄せるときに、やみくもにクルマを寄せてませんか?
後藤 寄せようと意識はしてみるけど、正直どこを基準に、どれくらい寄せればいいのか、よくわからないですよね。
下澤 実はそれには基準があります。簡単に言うと、「ハンドルがクルマの大きさ」だと思ってください。
後藤 「ハンドルがクルマの大きさ」?どういうことですか?
下澤 左に曲がるならサイドラインにハンドルを握っている左腕が寄るイメージ、右に曲がるならセンターラインに右腕を寄せてあげるイメージでクルマを寄せると、ぴったりになるんです。
下澤 これは軽自動車に乗ろうがバス、トラックに乗ろうが変わらないですね。軽自動車はハンドルが小さくて、バス、トラックなんてすごいハンドルが大きいじゃないですか。あれは、運転手にクルマの車幅の縮図を知らせるためなんですよ。
右に曲がるときはセンターラインの真横に右腕を添えるイメージで、左に曲がるときはサイドラインの真横に左腕を添えるイメージで。こんな感じでしっかり自分の「根拠」や「基準」を決めていくことが大事です。
後藤 なるほど!ここでも「感覚を根拠に変える」運転が必要なんですね。
下澤 特に普段乗られてない方は、クルマを含めた「自分」が、いまどこにいるのかわかっていない方が多いんですよ。だからこの根拠や基準をひとつでも多く覚えると、見違えるくらい運転が上手になりますね。
後藤 もう目からウロコが3回くらい落ちました!
下澤 では先ほど教えた「アクセルを踏む自分の足=右のタイヤの位置」と「ハンドル=クルマの大きさ」を使って、路肩に停めてみましょう。まずは真ん中をずーっと走って、ハンドルから左腕を路肩の縁石に沿うかたちで…
後藤 左腕を伸ばして縁石に沿うかたち、で…停める。
下澤 …後藤さん。
後藤 はい!
下澤 すばらしいです。
後藤 おお〜〜!!!
下澤 その感じですね。その根拠を頼りに考えると、自分のクルマがどこにあるのかわかりやすいでしょう?
後藤 めっちゃわかりやすいです!
自分に合った道路から、脱・ペーパードライバーを目指す!
下澤 この1時間で、停車から駐車、進路変更に右左折など、一通り必要なことを復習してみました。いかがでしたか?
後藤 それぞれの行動には必ずポイントとなる根拠や基準が備わってました。「感覚を根拠に変える」という下澤先生のお話、だいぶ理解することができました。
下澤 この根拠や基準をきちんと踏まえて、ご自身の走りやすい道路で運転してみてください。
後藤 ちなみに、ペーパードライバーが復帰しやすいコースとかってあります?
下澤 そうですね…。本当はご自身が1番運転される地域を運転するべきなんですが、都内だとなかなか難しいですよね。私がよく行ったのは、夜の工業地帯とかですかね。
後藤 工業地帯?なぜまたそんなところに?
下澤 夜だと人通りが少ないのはもちろん、工業地帯だとトラックの通りが激しいので道路の幅も広いんです。広い道で人がいなければ、のびのびと練習ができますので。もちろん人やクルマが来ないとも限らないので、きちんと交通法規は守らなければなりませんが。
後藤 なるほど。私の家の近くに道が広いところがあるので、夜な夜な練習しようかと思います。
下澤 ということは、脱・ペーパードライバーになるということですか?
後藤 脱…できるかわからないですけど、がんばって練習してみたいと思います!
授業、とてもわかりやすかったです。本当にありがとうございました!