京都府の山田啓二知事は9日に開いた定例記者会見で、東海旅客鉄道(JR東海)がリニア中央新幹線の大阪延伸を前倒しすると表明したことについて発言した。「(経由地として)奈良が有力な情勢だが、京都はヒアリングにも呼んでもらえない。当然意見を聞いていただくべきだ」と石井啓一国土交通相に要望したことを明らかにした。
JR東海は政府の財政投融資の活用などで、大阪への延伸時期を現行計画の2045年から最大8年前倒しすると8日正式に表明した。整備計画で名古屋以西ルートは「奈良市付近」となっているが、京都側は京都経由を求めている。
奈良県の荒井正吾知事は9日の定例記者会見で「着工に向けて環境影響評価を早く行ってほしい。そうすればルートや駅が確定する」と話した。京都が議論に参加することについて「三重や奈良を通るルートを前提とした議論に京都も入ってこられたら歓迎します」と述べた。
大阪府の松井一郎知事は同日、JR東海に対する財政支援に触れ、「当面のつなぎの部分で金利負担など少しでも協力はできる」と記者団に述べた。「経済界も(大阪までの)全線同時開業となれば協力はいただけると思う」と期待を示した。
経団連の榊原定征会長は同日、大阪市内の会合でリニア新幹線について「関西だけでなく、東京、名古屋の3都市にとっての原動力になる」と発言。JR東海の前倒し方針については「経済界として歓迎したい」と力を込めた。