小田急電鉄、複々線化のトンネル工事現場を公開…2018年度の事業完成目指す

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ほぼ完成した地下緩行線トンネルの構造物。複々線化は2017年度に実施され、新駅舎などを含む事業全体の完成は2018年度を予定している。
  • ほぼ完成した地下緩行線トンネルの構造物。複々線化は2017年度に実施され、新駅舎などを含む事業全体の完成は2018年度を予定している。
  • かつて線路が敷かれていた部分に姿を現した新駅舎。
  • 新駅舎の2階から梅ヶ丘方面を望む。地上に敷設されていた旧線の線路は完全に撤去された。
  • 新駅舎の2階部分。自然換気を考慮した造りになっている。天井には太陽光発電パネルが設置されていた。
  • 新駅舎2階部分の吹き抜けから下を見ると、地下に伸びる真新しいエスカレーターが見えた。
  • 地下緩行線トンネル。一部は線路の敷設が完了している。
  • 地下緩行線トンネル。写真右側が下り線で、左側は上り線になる。
  • 地下緩行線トンネルの下北沢駅の部分。ホームの構築などはこれからになる。
小田急電鉄は6月9日、小田原線の代々木上原(東京都渋谷区)~梅ヶ丘(世田谷区)間の約2kmで進めている複々線化の工事現場を報道陣に公開した。2018年度の事業完成に向け、工事は順調に進んでいる。

代々木上原~梅ヶ丘間では、地上の線路を地下に移設するとともに、線路を増設して複々線にする工事が2004年9月から始まった。地下化は東京都を事業主体とする連続立体交差事業(連立事業)、線路の増設は小田急を事業主体とする複々線化事業として、一体的に実施されている。

2013年3月には急行線による暫定的な地下化が完了し、9カ所の踏切を解消。現在は下北沢駅の地上新駅舎と同駅前後の地下緩行線トンネル、同駅で交差する京王電鉄井の頭線の橋りょうなどの工事が行われている。複々線の完成は2017年度、新駅舎などを含む事業全体の完成は2018年度を予定している。

小田急が今回公開したのは、下北沢駅の地上新駅舎と同駅東側の地下緩行線トンネルの工事現場。地上の新駅舎は、かつて線路が敷かれていた部分に2層構造のものが建設中で、2階部分の吹き抜けからは、今後使用を開始する予定の真新しいエスカレーターの姿が見えた。

東側の地下緩行線トンネルでは、代々木上原方面に伸びる上り勾配のトンネル構造物と線路が完成した姿を見せていたが、下北沢駅の部分は未完成。これからホームの床面や線路の敷設に取りかかるという状況だった。小田急の説明によると、地下緩行線トンネルの進ちょく率は、東側が掘削(土量)78%、トンネル構築(コンクリート量)56%。一方、西側は掘削が完了しており、トンネル構築も79%まで進んでいるという。

鉄道土木に詳しいライターで報道公開に参加した梅本拓也さんは、「かなり小分けに掘削されているなと感じた。軌道の敷設も進んでおり、2018年度の完成に向け工事が順調に進んでいる様子を実感できた」などと話した。

この工事が完成すると、小田原線は代々木上原駅から和泉多摩川駅付近までの約11kmが完全な複々線になり、輸送力の大幅な向上が図られる。小田急はこれに伴い、2018年3月にダイヤ改正を実施する方針。平日ピーク1時間あたりの運転本数は現在27本だが、改正後は36本を目安に増発する。千代田線直通列車も現在の5本(平日ピーク1時間あたり)から12本を目安に増やす。ラッシュ時の所要時間は、町田~新宿間で現在より10分短い38分になるという。

世田谷代田~下北沢間の混雑率(2015年度)は191%で、現状の輸送人員のまま複々線化すると140%程度まで下がる計算になるが、小田急は複々線化による利便性の向上で他の路線からの転移があるとし、実際の混雑率は160%程度になると見込んでいる。
《草町義和》

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