2001年に誕生して以来、テレビドラマや映画、漫画などのメディアミックスを展開してきた「時空警察」シリーズ。今回は、原望奈美、古橋舞悠、黒原優梨、フォンチーなど、総勢40名もの女性キャストで上演される。原案を畑澤和也、脚本・演出をカプセル兵団の吉久直志が手掛ける15年の集大成ともいえる舞台について、出演者に話を聞いた。
――― まず、みなさんの役柄から教えていただければと思います。
原「私はハルカ・カナタという主人公を演じます。明るくて前向きでどこにでもいる女の子ということですが、実は私の性格はその真逆で、後ろ向きでネガティブで自信がないんです。でも、自分にはない役を演じるのも楽しみなので、前向きな気持ちで頑張りたいなと思います」
古橋「トワ・クロエという役は、成績はトップだけど素行が悪く問題児扱いされて、男っぽい性格です。実際の私の性格と半分くらいあってますね(笑)。最近、しゃべり方もどんどんイケメン化してってるんですよ。だから、自信を持ってやっていけそうな気がしています。クロエの一人称は『オレ』なんですけど、さすがに普段は『オレ』とは言ってないですけどね(笑)。以前、アリスインでは『みちこのみたせかい』という舞台をやらせていただいたんですけど、その舞台でやった役とも違うので、役のレパートリーが広がるのではないかと期待しています」
黒原「私の演じるクロエ・キーツという役は、時空警察の申し子と言われるトップエリートで、冷静沈着な人造人間なんです。私自身は、喜怒哀楽はけっこう激しいほうだし、冷静沈着でもないんですけど、今までにもクールな役は多かったので、今までやってきたことを生かしつつ、新しい役にチャレンジしたいなと思います」
フォンチー「ギルガメッシュというラスボスで、誰からも畏怖される格闘技の使い手という役を演じます。ラスボスと聞いてびっくりしていますが、やったことのない役を演じるのは、楽しみでもあります。アクションはそんなにやったことがないんですが、誰よりも強く見えるように頑張ります」
――― フォンチーさんはこのシリーズに出られた経験もあるんですよね。
フォンチー「4年前に『時空警察ヴェッカーχ彷徨のエトランゼ』に出演しています。そのときは、ラスボスどころかラスボスと戦う主人公の麻宮亜里沙という役だったので、真逆の役割ですね。麻宮亜里沙は今回も出てくるということなのですが、私もこのシリーズに帰ってきた気持ちもあり、すごく楽しみです。それに、時空警察シリーズ自体ののファンの方も多いと思うんですよ。そんなファンの方の期待に応えるべく、今度は集大成ということで、新しいカンパニーのみなさんと一緒に舞台を作っていきたいなと思います」
――― アリスインプロジェクトのお芝居は、女性だけということも特徴です。古橋さん、黒原さん、フォンチーさんは、すでにアリスインのお芝居に出演されたことがあるということですが、女性だけのお芝居をやられてみての感想は?
古橋「女子だけと聞いて、最初はどんなものかなと思っていったら、すごく仲良くなれました。みんなで、この役はどういうことを考えているんだろうとか、話し合ったりして成長できたし、アリスインの舞台は、内容も深くて考えさせられるものでした」
黒原「私は『魔銃ドナー KIX』という舞台に出させていただいたんですけど、アクションも多かったので、女性しかいない中、力強さをどうやって出そうかと考えていました。カンパニーの絆も強くて、全員が姉妹や家族のように深くつきあえました。オープニングで毎回ダンスで見せるので、そこも見どころになるかなと思います」
フォンチー「私も今回で二回目なんですけど、女の子だけの舞台ってそんなにないのでレアだと思うし、けっこう年齢層もばらばらなので、先輩後輩でお互いが教え合ったり、得るものもありました。今回は、自分は大人組になると思うので、若い子にパワーをもらって、お互いに刺激しあえる座組になるんじゃないかと思います」
――― 原さんは初めてにして主演なので、緊張もあるかと思いますが。
原「私も初めての舞台が女性だけのものだったんです。アリスインの舞台は初めてなので、不安もあるんですけど、共演の皆さんに助けてもらうこともあるかもしれませんが、主演ということもあって、ただただ頑張りますという感じです」
――― みなさん、アイドルグループでも活躍されていましたよね。アイドル活動と、舞台との共通点や違いってありますか?
フォンチー「アイドルをやってたときはメンバーと毎日のように会うんですけど、舞台の場合は、短期間でひとつのものを作り上げていくので、一体感は生まれやすいのかと思いますね」
古橋「同じ目標に向かって進むのはアイドルと似ている部分はあるかもしれないですね。舞台を終えたときの達成感は、ライブとはまた違うものがあるとも思います」
黒原「グループのときは、毎週のようにライブがあって常に本番を迎えているような感じでした。今週が終わったらまた来週というスケジュールだったので、ずっと突き進んでいました。舞台は、公演に向けて一カ月という期間で作り上げていくので、フォンチーさんもおっしゃっていたみたいに、凝縮された中で団結力が高まるんじゃないかと思います。それと、アイドルグループとは違って、公演が終わると、明日から別々の道を歩いてくことになるので、その寂しさはありますね」
原「グループのときと、今回の座組でそこまで変わらないとは思うんですけど、舞台でも歌のステージでも、女性にしか出せない強さとかを出せたらいいなと思います」
――― 最後に、この舞台のどんなところを見てもらいたいですか?
原「今まで、ダブル主演はあったんですが、主演は初めてで、プレッシャーも感じてます。でも、みんなで主役というつもりでやらせていただけたらと思っています。15年続いていたシリーズで、私たちが新たなキャラクターとして出ることになるので、前とは違った作品を作れたらと思いますし、以前からいらっしゃる時空警察のファンの方にも認めてもらえるように努力したいと思います」
古橋「前回の舞台が、アリスインプロジェクトでは初めての本格的な会話劇だったんですね。今回はアクションもあるということで、体を動かすのは大好きだし、ダンスにも久しぶりに挑戦できるので楽しみです。それから、初めて見に来てくださる方もいると思うので、わかりやすく伝えられる表現力もつけて臨みたいと思っています」
黒原「今回、15周年の集大成ということなので、今までのシリーズの良さを生かしながら、今回もいいものを作り上げて、今までのファンの方と、新しく見に来てくれる方、両方に満足してもらいたいです。刀や銃を使ったアクションも楽しみです」
フォンチー「今回は年齢もばらばらですけど、先輩後輩関係なく、全力でぶつかりあって支え合って、この集大成を完成させたいです。なおかつ、次につなげていけるように頑張りたいと思います。今まで続いてきたものだということを意識しつつも、気負わずに、新しいものを作ってお見せできたらと思います」
(取材・文&撮影:西森路代)