まだ20代だった会社員時代、残業のない日は皆無であり、帰宅するのは日付が変わってから、という毎日でした。
疲れきってはいたものの、寝る前に必ず以下の2つだけはやるようにしていました。
- その日の収支を家計簿に入力
- その日の出来事を日記に入力
いずれも、やらずとも困らないものばかりで(短期的には)、そんなことをする時間があるならさっさと寝て翌日に備えたほうが良かったのですが(短期的には)、何かに取り憑かれたかのように寝る前に必ずこの2つの入力をこなしていました。
短期的な損得にとらわれることなく、長期的な展望をもとに過ごしていた、などと高尚なことを言いたいわけではありません。
ただ、今ふり返ってみると、このような地味な入力作業を続けていたのにはそれなりの理由があったのだと思えます。
意味をつむいでいた
ひと言でいうとこういうことです。
朝起きてから、朝食・身じたくもそこそこに家を飛び出し、起きている時間のほとんどすべてを会社での仕事に捧げ、帰宅すればあとは寝るだけという毎日。
そこには自分の時間というものはいっさいありません。
自分は何のために生きているのか。今日は何を感じ、何を生み出したのか。自分でなければ見い出し得ない何かを一つでも手にすることができただろうか。
これらの問いに答えられない日々が続くと、きっと何かがおかしくなる、という危険を感じていたのでしょう。何がどうおかしくなるかはわからずとも、とにかく身の危険を感じたからこそ、それに備え、抗おうとする。
そのための手段が、家計簿の入力と日記の入力だったのでしょう。
幸いにして、残業代は(単価は安いものの)いっさいカットされることなく支給されていたので、基本給とほぼ同額の残業手当が毎月振り込まれていました。
お金があっても使うひまがありませんから溜まる一方です。実際にどれぐらいのお金が貯まっているのかをきちんと数字で把握しておきたい。そうすることで、ささやかながら希望が生じる。そんな思いからの家計簿入力です。
一方、日記はどんな思いで続けていたか。
いま読み返してみると、ほとんどはその日に同僚や上司とどんな話をしたか、そこから何を感じたかといった、後から何かの役に立つとはとうてい思えない記録ばかりです。
それでも続けていたのは、その日に感じたことをその日のうちに書き留めておかないと、自分が自分でなくなってしまうのではないか、という漠たる恐怖感があったからかもしれません。自分はこんな風に感じることができるのだ、という事実を何よりもまず自分が確認したかったのでしょう。
そのようにして、深夜の限られた時間に可能な限りの記録を残すという活動を続けていたおかげで、長時間労働な毎日の中でも何とか正気を保てていたのだと考えています。
以下の記事を読んで、そんなことを思い出しました。
» [η]今の仕事で自己実現できる?死に際に後悔するかもよ?~残業拒絶論~
わたしが残業をしまくり、過労死したと仮定します。プライベートの時間も睡眠時間も削って、社内外からの依頼に対応した結果です。当然、周囲からの評価も高いです。
社内外の関係者にわたしが過労死したということが伝わりました。みんな、わたしを評価してくれていたので、「そうか。残念な人を亡くしたな」とか、「あの人、対応良かったのに残念だなぁ」とか思ってくれます。
でも次の日には、みんな日常に戻ります。組織を回すには、感傷に浸っている暇はなく、わたしが抜けた穴を埋めるための行動策を次々と実行していかなければならないからです。それにいつまでも亡くなった人のことを考えていては、自分が生きていけなくなります。未来に向かって生きていくのが正しい人間の姿です。
わたしが死んだとして、多分こんなものです。仕事仲間との親密度によって、周囲のお通夜ムードが続く期間は多少変わると思いますが、ある程度の規模の会社のサラリーマンなら、誰もがこんな感じのシミュレーション結果に落ち着くのではないでしょうか?
会社に命を捧げた結果がこの程度なら、いくら後悔してもしきれません。
もし死ぬ間際に同僚の誰かと話せて、「おまえはみんなのためによく尽くしてくれた!」と涙ながらに励ましてくれれば、多少は救われるでしょう。
しかし現実的に考えれば、突然死であれば死ぬ間際に誰とも会話できませんし、突然死でなくても死ぬ間際は衰弱してろくに話せない可能性が高いので、相手に「俺、みんなのために役に立ったかなぁ?」という問いかけもできないでしょうし、相手もまさかそのような言葉をわたしが欲していることには気付かないと思うので、この救いの実現可能性は低いでしょう。
結局、誰もわたし自身の死ぬ間際の後悔を救ってはくれないのです。
だから、どんなに忙しくても、睡眠時間を削ってでも家計簿と日記だけは続けるようにしましょう、というわけではないのですが…。
マンガで紹介いただいています
このような会社員時代の話の一部をマンガで紹介いただいています。
第1話(part.1)「シゴタノ!」大橋さんの仕事術 | まるっち | note
現在、パート2まで公開されています。
第1話(part.2)「シゴタノ!」大橋さんの仕事術 ~”地を這う時代” | まるっち | note
6月11日(土) 週単位の時間割を活用してレビューと計画を効果的に進める方法
『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』(佐々木正悟・著)の内容をベースに、タスクシュート時間術、すなわち仕事を予定どおりに終わらせるための時間管理の考え方とツールを駆使した具体的な方法をお伝えします。
今回のテーマは、
-週単位の時間割で日々の仕事量を最適化する方法
です。
一日単位の記録とレビューでは把握が困難なことも、週単位でふり返ることでクリアに浮かび上がってきます。
そこで、週単位の時間割を活用してレビューと計画を効果的に進める方法を 解説します。
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