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児童8人が死亡、教員を含む15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小学…
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児童8人が死亡、教員を含む15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)の児童殺傷事件から、15年がたった。
包丁を持った男が学校に侵入した無差別殺傷事件は、学校の危機管理を根本的に見直すよう迫った。事件後、各学校で対策がとられたが、子どもを狙う事件は後を絶たない。事件の教訓を改めて考える必要がある。
この15年で確実に進んだのは、学校の防犯対策だ。
文部科学省の13年度の調査によると、防犯カメラをとりつけるなど不審者の侵入防止措置をとった学校は97%にのぼる。
警備強化で安全が向上した面はある。だが、外の世界との遮断だけで問題は解決しない。
施設内にボランティアの住民に入ってもらい、不審者が入りにくい環境を整えようとする学校もある。地域のコミュニティーで子どもを見守る試みだ。
不審者が一番恐れるのは周囲の大人の目ともいう。学校の立地や教職員の数など、個別事情もあるだろうが、こうした試みの成果にも期待したい。
警察庁によると、14年は13歳未満の子どもの連れ去り(略取・誘拐等)が全国で109件発生した。04年の141件から減っていたが、08年(63件)を境に増加する傾向に転じた。
警察官を装って呼びかけるなど、手口の巧妙化が目立つ。
子どもへの安全教育でも、地域の協力が欠かせない。
付属池田小では事件後、身の回りの危険などについて学ぶ安全科の授業を全学年でとりいれた。緊急時に逃げ込む「こども110番の家」の位置を調べ、登下校時の安全も学ぶ。
「おなかが痛いので荷物を持ってくれる?」
たとえばこう頼まれたら、1人で対処せず、大人を呼んで手伝ってもらうよう教える。
「危険を強調するだけではなく、子どもと地域が協力して安全対策を進めることで、大人や地域への信頼を育む」
事件後に付属池田小の校長を4年務めた藤田大輔・大阪教育大教授(学校安全)は言う。
他校にも参考になろう。
文科省は3月、学校事故対応に関する指針をつくった。救命措置を最優先することや保護者への継続的な支援などで、付属池田小事件の遺族の意見も反映された。指針を生かすには、学校現場でふだんから理解を深める努力が欠かせない。
犠牲者が生きていれば、社会人として巣立つ年齢だ。犯罪史に残る凶悪事件を、決して忘れるわけにはいかない。
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