規制が厳しくなった出会い系サイトに代わって、交流サイトが子供の犯罪被害の温床になっている。警察庁が14日発表したまとめによると、昨年1年間に交流サイトを通じて、犯罪の被害に遭った18歳未満の子供は1652人で、過去最悪を更新した。交流サイトには児童買春に関する投稿が目立ち、誰もがアクセスできる利便性が悪用されている。
「興味ある人DM(ダイレクトメール)して」「14歳お金なくて困っています」――。検索サイトに「ツイッター 援」と入力すると、こうしたつぶやきの一覧がずらりと表示される。「援」「サポ」は、交流サイト上で、児童買春を含む「援助交際」を指す隠語だ。
短文投稿サイト、ツイッターはユーザー登録していなくても、他の人が投稿したつぶやき、画像を閲覧することができる。キーワード検索や、投稿者に直接メールを送ることも可能。警察関係者は「交流に便利な機能が、買春目当ての大人が子供に接触する手段として使われている」と指摘する。
2015年に交流サイトに関連して犯罪に巻き込まれた子供は、過去最悪だった14年の1421人からさらに231人(16%)増えた。サイト別ではツイッターが226人で最多。14年の2.1倍と、増加が際立った。
警察が15年下半期に摘発した児童買春などの容疑者に、子供との連絡にツイッターを使った理由を尋ねたところ、18%が「検索しやすい」と回答。警察庁は対象となる子供の情報を得やすいことも、性犯罪などの入り口として悪用される要因とみている。
警察庁によると、ツイッターがサイト内で監視しているのは児童ポルノのみ。相手に制限なく、子供と大人が簡単にやり取りできる。規約上は13歳未満の利用を禁止しているものの、厳格な年齢確認はしていないという。
ツイッター日本法人は、子供の被害について「大変残念。安全性を強化し、問題解決に取り組む」としている。
一方、無料対話アプリのIDを面識のない相手と交換する掲示板サイトでは、運営会社が年齢確認を厳格化したところ、14年に260人に上った子供の犯罪被害が、15年には66人に減少した。警察庁は身分確認の厳格化が被害の抑制につながるとして、事業者にサイト内の監視や年齢確認の強化を要請している。同庁の担当者は「悪意を持った大人がネット上で子供と接触できないよう、対策を進める必要がある」と指摘した。