東京都の舛添要一知事は6日、政治資金の公私混同問題で、第三者の弁護士に依頼した調査結果を公表した。約440万円の支出を不適切な使途と判断され、宿泊費と飲食費の約110万円を返金すると表明した。
「書道の際に中国服を着用すると筆がスムーズになる」。舛添氏は調査報告書内で、東日本大震災の翌日だった11年3月12日に中国・上海で買ったシルクの男性用中国服2着、筆、硯(すずり)など計約14万円について、そう説明した。先月20日の定例会見で「震災翌日に14万も上海で何を買ったのか」と聞かれ「今記憶にない」と断言していた割には、珍妙な購入理由を調査過程で語っていた。
佐々木弁護士は「同日(震災翌日)に購入した中国服かどうかは確認できない」としながらも「舛添氏の保管していた中国服が墨汁で汚れていた。説明は具体的で説得力がある。書道は政治活動に役立っている」として知事の言い分を認めた。
領収書に物品名を記さなかった理由は「震災翌日で何とか取れた飛行機の時間が迫っていた」とした。
「政治活動」という幅広い理由から、疑惑のほとんどが“見逃された”形だ。調査報告書によると、08~14年の宿泊費19件(計約182万円)中、家族同伴での6件(計約80万2000円)と、09~14年の飲食費65件(計約245万円)中、家族との飲食だった可能性が高い14件(計約33万6000円)が「不適切」と判断された。その他は選挙応援や要人との会合などをしており「不適切ではない」とした。
美術品106点(計約315万円)も「多すぎる」と指摘しながらも保管場所を明示したのは都庁に保管している40点。残り66点、約168万9000円分の保管場所は不明のままだ。
11年10月に福岡県内で購入した漫画「クレヨンしんちゃん 北与野博士編」やクイズ本「ひっかけクイズ最強イジワル王への挑戦」を報告書は「家族同伴の出張で買っており、家族のために購入したとみられてもやむを得ない」とした。【三須一紀】