挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔拳のデイドリーマー 作者:和尚

第10章 水の都とよみがえる伝説

90/197

第153話 集いし強者達

前回、とうとうあの人が降臨……

……したってのにさらに起こるインフレ。
 

 ……えっと、つまり?

「旅先で貸金庫のことを思い出して、家に鍵を取りに来たらなくなってた上に僕の匂いなんかが残ってたことから、僕が持ち出したんだと思って、それなら『ブルーベル』に行けば僕にも会えて預けた物も受け取れて一石二鳥だってことで追っかけてきて……」

「そしたらたまたま通りがかった裏路地で、そこ歩いてた女の子からミナトの匂いがしたからその子の記憶読ませてもらってミナトの居場所を特定して、来てみたら変な魔法の痕跡と魔法陣があったから、力ずくでこじ開けて追って来た、ってわけ」

 後半かなり非常識なことさらっとやってんな、この人。

 あんだけ高度に隠蔽されてた魔法陣を苦もなく見つけ出した上、何が条件になって作動するかもわからないもんを無理矢理こじ開けるとは……そんなことできるのか。

 さすがは我が母……アイリーンさんや師匠と波長があって一緒にバカやれるだけのことはある。あらためて思うけど、とんでもない怪物だ。

 とまあ、そんなことを考えながら……僕らは現在『オルトヘイム号』のリビングにいる。

 ついさっき合流した母さんにつれられて、まずはあの謎のダンジョン……母さんがたしか『ネガの神殿』とか呼んでいたそこから脱出した後、とりあえずここに来たのだ。
 宿で待っててもらってた、シェーンとターニャちゃんも一緒に。

 なおその際、僕の母さんであることの説明は済んでいる。

 皆驚いてたけど、彼らの精神が事態に追いつくよりも先に、母さんにせかされて何だかんだでさっき言った運びになったわけである。

 つまり、まだみんな絶賛驚愕中+混乱中とうことだ……義姉さんのぞいて。

 ちなみに、宿でなくこの船に帰ってきた理由は、さっき母さんに簡単に僕らの今の状況を説明した際に貰った、『だったらその何かたくらんでる連中にばれてる可能性がある宿より、セキュリティもばっちりなミナトの拠点に戻った方がいいんじゃない? ……今ミナトがどんなとこに住んでるか興味あるし♪』との意見が理由。

 最後ちょっと母さんの我欲が見え隠れしてたけど、言ってることは間違ってないので従うことにしたわけである。

 その王子様たちは来客用の居住区画、裏切り者の生き残り1名は牢屋に入れてある。
 どちらも設計段階できっちり作ってあるのだ、この船は。

 まあ今はそのどちらも、緊張の糸が切れたのか、それとも疲労が限界に達したのか……全員死んだように眠ってるけど。ありゃ当分起きそうにないな。

「えっと、どうぞ。お茶です」

「うん、ありがと。しっかしまあ……立派通り越してとんでもない拠点があるのね。認識阻害機能つきの浮遊戦艦か……クローナとの合作なんだって?」

 リビングのソファに座り、ターニャちゃんが淹れてくれたお茶を飲んでリラックスしている母さん。

 今まで入ったこともない場所であり、何人もの知らない人に囲まれているにも関わらず、緊張している様子は全くなし。完膚なきまでにいつも通りである。

「それで……この子達が、ミナトの旅のお仲間ってわけね?」

「ああ、うん。さっき簡単に自己紹介したよね?」

 座ったまま、部屋に集合して思い思いに楽にしている僕の仲間たちを見渡す母さん。
 『邪香猫』メンバー6名に加え、義姉さんにターニャちゃんにシェーンのメンバー以外の3人も揃ってる合計9人を、順々に見ていったかと思うと、

「えーっと、じゃ、あらためて。ミナトの母のリリンです。元冒険者で、引退した時のランクはSS。多分知ってると思うけど……『女楼蜘蛛』っていう冒険者チームのリーダーやってました、以上。……こんなもんでいいかな?」

「いいと思うよ。僕としてはきちんと常識的な自己紹介で安心した」

「むーっ、ちょっと酷くない? ミナトってばお母さんのこと何だと思ってんのよ」

「……言ってほしいの?」

「ふっ、そんな脅しにひるむお母さんじゃないわよ。何を言うつもりなのか知らないけど、上等じゃない、言って御覧なさい。むしろ自分の羞恥心を心配するのね」

「……なんて脅し文句をこの人は……」

 相変わらずこの人の相手は疲れる……しかも、人前だからなおさら。

 予想しないじゃなかったけど……緊張するってことを知らないこの人は、誰が相手でもほぼ遠慮しないでしゃべり、振舞うようだ。

 ……でもそれが懐かしい感じもして、ちょっと笑顔になっちゃってる僕も僕か。

 家を出る前にも思ったけど、何だかんだ言って僕もこの人好きだから。一緒にいるだけで何か安心するんだよね……疲れるとは言っても。

 そして当然のごとく、そんなやり取りに面食らってる皆だけど……同時に、さっきの母さんの自己紹介で述べられた衝撃の内容に、やはりというか各々思うこともあったようだ。

 まあ、無理もないだろう……それだけの内容だったし。いくら事前に、僕から聞いたことがあったとしても。

(この人が……ミナトのお母さん、か……)

(伝説のチーム『女楼蜘蛛』のリーダーにして、元SSランクの超実力者……世間では死亡したって言われてるし、実際僕も最近までそう思ってた……)

(ミナト君を鍛え上げた張本人で、元祖『否常識』か……確かに、優しそうで親しみやすい雰囲気だけど、今さっきその実力の片鱗を見たばかりなのよね……)

(ミナトさんの、そして同時に、ドレーク総帥やアクィラ大臣、ノエルさんのお母様……その全員をして『世界最強』とまで言われる、生ける伝説、ですか……)

(そして一緒にいたこのワンちゃんとネコちゃんが、どっちもランク『測定不能』とは……飼い主ともども見た目が当てにならないですねえ)

(……なんでだろう、『女楼蜘蛛』なんて雲の上の存在のはずなのに……何だか私、この人とは仲良くなれそうな気がする)

(ごく普通の陽気で明るい女性にしか見えんが……いや、それはただ私の目が節穴だというだけのことなのだろうな。キーラ殿も以前、次元の違う実力者だと言っていたし……)

(久しぶりに会うけど、変わってないなー、お義母様。いや、中身はむしろ酷くなってる可能性が高いのか……我が義弟のせいで)

 各々違った表情で、違ったことを考えてるんだろうけど……おそらくその内容は大まかに言えば、我が母を前にした複雑な心中の吐露ってとこだろうな。

 あと、ターニャちゃんのあの真面目な表情が逆に不安というか、トラブルの火種になりそうな危険さを帯びて見えるのは何でだ? ただの家政婦で、この中では冒険者とはむしろ一番接点とか無さそうな感じの立ち居地なのに。

「さーほら何でも言ってみなさいな我が息子よ、私がどんな母親か! 行っておくけどこの私には何も人様に隠しておくよなやましいことなんて……」

「嘘つけ。むしろ思い出話するのにエピソード選んで話す必要があるくらいあるっての」

 と、言い返してみたものの……本気でそのへん思い当たらないらしい我が母は、顎に手を当てて『むむむ……』と考え始めた。

「うーん……あ、もしかしてあのこと言ってんの?」

「あのこと?」

「うん、ホラ、あんたを男にしたのは何を隠そうこの私だっていうアレどわっ!!」

「口を閉じろこのバカ母ぁぁあ――っ!!」

 気付けば反射的に蹴りが空を切っていた。
 しかし、それを危なげなく避ける母。ちぃっ、相変わらず見事な身のこなし!

「ちょっと危ないわねミナト! いきなり何よ!?」

「いきなり危ないのはあんただよ! 何初っ端からとんでもないことをしゃべってくれてんのこの衆人環視の状況下で!」

 恐る恐る、ちらっと皆の方に視線を向け……ああっ、やっぱり微妙な空気になってる!

 今の爆弾発言に、全員漏れなく固まってる! これ異常ないってくらいに唖然とした『え、マジ!?』って表情になってる! しかも何人かは想像しちゃったのか微妙に顔赤い!

「あーもうバカ! 何で数あるエピソードの中からよりによってそれ選んだ!? 確実に場の空気と僕への心象が大変なことになる爆弾でしょーが!」

「いや何でも何も、数あるって何よ? それ以外に別にやばいエピソードなんて私もってないじゃない。せいぜい今でも一緒にお風呂入ってるとか、一緒に寝てるとか、一回興味本位で女装させようとしてマジ泣きされて焦ったとか、ミナトが大きくなって着られなくなった古い服を捨てるって言って実はとってあるとかその程度の微笑ましいのしか……」

「もれなく犯罪臭がするわどれもこれも!」

 ほぼ慣れちゃってた僕も僕だけど、16歳にもなって女親と一緒に風呂に入ってたって、十分思春期男子には爆弾だから! あと一緒に寝てることについても以下同文!

 つーか女装の件はホントに蒸し返すな! アレ地味にトラウマ寸前だったんだから!

 そして最後の何だ!? 初耳! あんた僕のお古の服で何やってんの怖いんだけど!

「いや何って……別に変なことに使ってるわけじゃないわよ。ただ、捨てるのもったいないしミナトの匂いがしみこんでて安心するから、細かく切り刻んで外泊する時に持っていく枕とか抱き枕につめて芳香剤代わりにして寂しい夜を慰めてもらってるだけ……」

 ――ごすっ!!

「……ちょ、ミナトあなた、お母さんに……女親にグーでゲンコツって……」

 ……スウラさんに相談したら逮捕してもらえないだろうか、この母。

 甘かった……僕が把握してたこの母の非常識な部分なんて、氷山の一角だったんだ……いやむしろ把握『してなかった』今までを幸運だったというべきか。精神的に。

 ていうか、今僕が反射的に殴った頭のてっぺんをすりすりとさすってるけど、間違いなく痛くもかゆくもないはずだ。

 この人だって僕と同じで『EB』を使えるし、そのせいで肉体が変質してるはず。おまけにもともとの身体能力や身体強化のレベルの高さもあるから、僕なんかの打撃じゃ母さんにはほとんどダメージは通らないのだ。マジで。

「そんなことないってば……ミナトあなた随分腕上げたみたいね、ちょっと痛かったわよ」

「あっそう……そりゃよかった」

 ふと目を横にやると、さっきまで以上に唖然としてる皆の衆の顔が視界に入った。
 あ、でも義姉さんだけ微妙に違う。何かを諦めたような、疲れ果てた表情になってる。

(((……なんか……すごい人だな……)))

(やっぱり……悪化してるよ……)

 約一名、義姉さんだけは違う感じだけど。

「あーそれはそうとミナト、お母さんさっきからずっと気になってたことがあるんだけどさ、聞いていいかな?」

「できれば聞いて欲しくないけど……何?」

「うん。じゃ単刀直入に……ズバリ、どの子が将来私の娘になるのかしら?」

「こっちの緑色の娘」

「緑色とは何よ真っ黒。ってか何平然と返事してんのよ」

 ちょっと顔を赤くしつつツッコむエルク。

 いやまあ、またえらい内容の質問だなとは思ってるんだけど……さっきまでのやり取りでもう体力も精神力も消耗しすぎて、しばらくツッコミする気起きないんだよ。

 で、母さんは『ほうほう』とエルクの方を見て、まだ若干顔が赤いエルクを頭のてっぺんからつま先までじろりと見る。

 その視線は、さっきまでとは打って変わって真剣で……何か、気迫みたいなものすら感じる。そんな視線を向けられ、エルクは反射的に背筋を伸ばしていた。

 部屋の中の空気も、それが伝播して自然と張り詰めたものになる。

 そして……たっぷり10秒ほども見つめていた母さんが、ようやく口を開き……

「……着やせするタイプね。意外と安産型と見た」

 あ、やっぱこの人相手に緊張するのって全面的にムダなんだ。

「まあでも、正解」

「あ、やっぱり?」

「このバカ親子!!」

 すぱぱーん! と快音を上げて、エルクのハリセンの一撃が僕ら母子に炸裂した。
 案外早そうだな、この分だと。エルクと母さんがなじむのも。

 その後、シェリーが『愛人1号ですー。よろしくお義母様♪』なんて名乗り出て更に場がカオスになったりしつつ、夜は更けていった。

 
 ☆☆☆

 
 その後、シェーンとターニャちゃんには通常業務に戻ってもらうと同時に、ふと思い出したことを聞いてみた。

「そういや母さん、さっきあのダンジョンのこと、『ネガの神殿』とかどーたらこーたら言ってたみたいだけど……あそこ母さん行ったことあったの?」

「ああ、そういやまだ話してなかったわね」

 邪香猫のマスコットことミュウを膝の上に乗せてなでて愛でている母さんは、諦めてなすがままになっているミュウから視線をこっちに移してよこした。

「『ネガの神殿』ってのはあのダンジョンの名前よ。私が現役だった時代に、世界中どれだけ探しても見つけられなかった超古代の迷宮。危険度は驚きのSランク」

「「「S!!?」」」

 ちょ、まじっすか!? Sランクのダンジョン!? 『樹海』や『暗黒山脈』、『黄泉の柱』より更に上!?

 どーりでやたら強い魔物が出てくるはずだよ……そんな危険な場所だったのか。

「あれ、でも今『現役時代見つけられなかった』って言ってなかった?」

「うん言った。てか、現役どころか終ぞ見つかんなかったし。さっき初めて入った」

「じゃ何であそこがその『ネガの神殿』だってわかったの?」

「壁に掘り込まれてた古代文字を見たのよ。あの程度なら翻訳できる知識はあるから、私。で、読んでみたら……『ここはネガの神殿』って書いてあったわけ」

 はー……壁にそんなのあったんだ。気付かなかったよ。
 ま、気付いても読めなかっただろうけどさ、古代文字なんて。

「じゃ、じゃあつまり、やっぱりあのダンジョンではあのくらいの強さの魔物が普通に出てくる、ってことなんでしょうか?」

 恐る恐る聞くナナ。それに、さも当然といった感じで普通に応える母さん。

「でしょうね。あそこにいたのはAAAの『デストロイヤー』と……あと来る途中の通路に『ライオットスライム』もいたわね。ああいうのがわんさかいるダンジョンよ」

「ライオ……もしかして人型のスライム?」

「あら、もう遭遇済みだったみたいね。ちなみにあれもAAAランクよ」

 ……ホントにとんでもないダンジョンだったんだな。怖すぎる。
 もしあのままあそこにいたら、あんなのとまだまだ戦うことになってたわけか……

 いざとなったら、密室だろーがどこだろーがお構い無しでミュウにこの『オルトヘイム号』召喚させて、天井とか全部ぶち抜いて強引に海に脱出しようかと思ってた。

 ゲームとかじゃ、どれだけ勇者のレベルが上がろうがダンジョンの壁を壊してショートカットするなんてことは出来ないけど、今この現実では出来るし。設計上はこの船は一応、深海だろうと航行可能なスペックになってるし。

 しかし、何だってそんな、RPGのエンディング後の隠しダンジョンみたいなとんでもない場所への入り口があんな岩場にあったんだか……と思ったその時、

 ――ジリリリリリリ……

「? 何の音?」

「あ、ごめん。僕のスマホ」

 『スマホって何?』と首をひねる母さんはスルーして、今正に鳴っている『マジックスマートフォン』を帯から取り出す。何だろう?

 この『スマホ』は『オルトヘイム号』の各種システムとリンクしていて、船のコクピットと通信したり、侵入者や魔物対策の警報とかが作動した場合コレで知ることが出来る。

 けど今のは『着信』だ……それも、コクピットからじゃなく、他のスマホから。
 そして、僕が発明したスマホを他に持ってる人ということは……あ、やっぱり。

 通話アイコンをタップして、電話に出る。

「はいもしもし、ミナトですー。師匠ですか?」

『おう、久しぶりだなバカ弟子。元気してたか?』

 電話の向こうから聞こえてきたのは、師匠……クローナさんの声だった。

「どしたんですか、こんな時間にいきなり?」

『わりーわりー、ちょっと頼みたいんだがよ……あーその前に、今どこだ? 船か?』

「ええ、オルトヘイム号ですけど」

『じゃちょうどいいわ。今からその船の超長距離転移システム使うから、準備頼むわ』

「はい?」

 ☆☆☆

 この船には、今言った警報装置の他にも、様々なびっくり設備が満載されている。

 その1つが、師匠から技術提供を受けて開発・実装した『転移システム』である。
 その名の通り、この船からどこか離れた所に、もしくは離れた所からこの船に一瞬でテレポートしてやってくるための装置だ。

 と言っても、そんなに簡単に使えるようなものじゃなく、色々と面倒な条件とかある上に、今のところ師匠の家と僕の船の2箇所しか転移できないんだけどね。

 具体的には、バカみたいに魔力食うとか、魔法回路への負担が強すぎて1回ごとにフルメンテが必要になるとか、転移の際の体への負担が大きすぎてそれ相応のレベルの身体強化が使えないと転移と同時に死ぬとか……etc。

 ちなみに『邪香猫』だと、僕とシェリーとアルバしか使えない。あ、でも多分義姉さんも使えるかも。

 そんな転移システムを、今こうして起動させている理由はというと……あ、来た。

 甲板に描かれた魔法陣。普段は格納していて、転移システム使用時にのみ出す装置。
 そしてその周囲を浮遊する、見た目ルービックキューブか何かみたいな立方体の機械。転移術式補助用のマジックアイテムである。

 手元の『タブレット』を操作して準備を整え、それをスマホで師匠に伝えた次の瞬間、魔法陣の中心に凄まじいまでの魔力が集中し、閃光がほとばしった。

 雷が落ちたような強烈な光と衝撃。人とか魔物に確実に気付かれて騒ぎになるレベルのそれだが、認識阻害で外部からは隠してるので問題ない。

 そして、その光が収まった時、そこには……

 
「ほー……こいつは驚きだ。『暗黒山脈』から『ブルーベル』沖なんてほぼ大陸縦断の距離だってのに、一瞬か。できちゃうもんなんだねえ、天才と天才が組むと」

「しかも転移酔いも思ったよりずっと楽ニャ。まあ、使い手は選ぶみたいニャけど……またとんでもないもん作ったニャ、クローナ」

「まだまだ改良の余地ありだけどな。久しぶりだなバカ弟子……と、バカリーダー」

 
 魔法陣の中心には、冒険者ギルドの頂点に立つ生ける伝説と、暗黒山脈在住のマッドウィザードと、会ったことのないネコミミの活発そうな女性が立っていた。

 3人が3人共……冒険者っぽい格好の完全装備で、だ。

 そしてそれを見て、僕の隣にいる母さんは、驚きつつも嬉しそうにしていた。

 ……まあ、そりゃ嬉しいだろう。何せ……150年以上ぶりに集まる仲間だ。
 これからこの面子で何をするつもりなのか、を考えれば、尚更のこと。

 そして、その表情のまま……母さんはその場を、こうしめくくった。

 
「うんうん! やっぱ念願の『ネガの神殿』を攻略するんだから、どぉーせなら昔みたいに皆で大暴れしたいってもんよねっ!」

 
 ……伝説の冒険者チーム『女楼蜘蛛』……期間限定で再結成。

 

 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ