トランプ現象の背後に白人の絶望──死亡率上昇の深い闇
(ニューズウィーク日本版 2016年6月 8日配信掲載) 2016年6月8日(水)配信
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この記事が注目されたのは、トランプ現象の背景にあると考えられてきた白人労働者の不満が、死と背中合わせの関係で浮かび上がってきたからだ。製造業などに従事する白人労働者は、グローバリゼーションや技術革新による雇用不安に加え、ヒスパニックなどの増加によって、社会的にもマイノリティ化していくことへの不安に苛まれている。その絶望が、選挙ではトランプ旋風を巻き起こす一方で、白人を薬物・アルコール中毒などの「絶望による死」に追い込んでいる、というわけだ。
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白人労働者の絶望を示唆する調査結果も発表されていた。2015年9月にプリンストン大学のケース教授とアンガス・ディートン教授は、薬物・アルコール中毒などの「絶望による死」の増加を主因に、中年(45〜54歳)の白人による死亡率が上昇していることを明らかにした。黒人やヒスパニックの死亡率は低下しており、白人でも中年における死亡率の上昇は学歴の低い層に限られる(図2)。