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文化

REAR どっしり批評

写真:芸術批評誌「REAR」 拡大芸術批評誌「REAR」

写真:誌面の構想を練る編集スタッフたち 拡大誌面の構想を練る編集スタッフたち

●アート軸、「戦後70年」特集も読み応え

 名古屋で生まれた芸術批評誌「REAR(リア)」が健闘している。現代美術のほか音楽、演劇、舞踊、映像など芸術全般を視野に、2003年に創刊した。地元のアートシーンに目配りしつつ、「いま何を発信すべきか」を考え、読み応えのある特集記事を連発している。

 発行は年3回。今年1月の36号の特集は「2015 戦争を視(み)る」。160ページのうち130ページをあてた圧巻の編集だ。全国の学芸員や批評家ら約30人が、「戦後70年の節目」に各地で開かれた展覧会の内容と意義をつづっている。

 名古屋市の「画家たちと戦争 彼らはいかにして生きぬいたのか」、三重県の「20世紀日本美術再見 1940年代」、岐阜県の「小さな藤田嗣治」など地元公立美術館の企画も一通り取り上げた。「原爆の図」の米国巡回展報告や映画「野火」を撮った塚本晋也監督の対談もある。

 辺野古基地、新安保法制、改憲の動きを踏まえた政治批判含みの評論が目を引く。沖縄県立芸大の土屋誠一准教授は、2015年は暗い展望に満ちた年だったと悲観し、「71年目にどういう一歩を踏み出すかが試されている」。東京・森美術館の飯田高誉理事は、自民党国会議員の文化芸術懇話会をプロパガンダ芸術政策集団だと批判し、「人間の本源的な意味に迫る芸術の役割がますます重みを増している」と書いた。

 「戦争と芸術」の特集はイラク戦争が起きた03年に「矛/盾 芸術に何ができるか?」を組んで以来だ。編集メンバーの高橋綾子名古屋芸大教授は「風化する戦争の記憶を見えるかたちに引き戻そうとした様々な営為の記録といえる」と話す。

 編集メンバーは7人。馬場駿吉名古屋ボストン美術館長もその一人だが、実務は高橋さんとフリーランスキュレーターや美大卒業生ら6人が担う。月3回ほど名古屋市内の喫茶店に集まり、雑誌の顔にあたる特集のテーマと執筆者を検討する。

 最近の特集では、出版不況下の書店人に光をあてた「本をとどける」が1200部を完売。その後も三重県鈴鹿市の抽象画家浅野弥衛を回顧する「弥衛さん」、陶磁器特産地ならではの「土のしごと」と好企画が続いた。今月の最新37号では初めて文芸を特集。詩人吉増剛造のインタビュー、劇団少年王者舘を主宰する天野天街と岐阜出身の新鋭歌人野口あや子の対談など、全国に読者を期待できる誌面に仕立てた。

 A5判約160ページ、約1200部を発行し、1部450円。最初は愛知と岐阜の書店やギャラリーで「手売り」していたが、いまは全国の書店で購入できる。自由な批評をめざし、創刊号からずっと広告を載せていない。愛知県から受ける年間20万円の助成金と個人協賛、雑誌の販売収入で発行を続けている。資金はかつかつだから、どんな著名な寄稿者にも原稿料を支払えたことがない。当然、スタッフは無給。出張取材の交通費も自己負担だ。

 「誌面の質を保ち、知名度が高まるにつれて、執筆依頼を断られることが少なくなった」と高橋さん。誌名の「リア」には「後衛」「育成」の意味がある。「批評活動を通して作家と芸術を支援していきたい」。編集スタッフと寄稿者らの意気込みが雑誌を存続させている。

 投稿と編集スタッフ、賛助会員を随時募集している。問い合わせはリア制作室(rear2002@gmail.com)へ。 (佐藤雄二)

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