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2016年06月09日 10時44分 UPDATE

IT大手、人工知能の時代を宣言 人の知能も脳へのインプラントで増強? (1/2)

AIと機械学習は非常に知的なコンピュータを生み出し、人は脳に“ニューラルレース”を埋め込まなければついていけなくなる──AIの時代到来が宣言された場で、こんな予言も語られた。(ロイター)

[ランチョパロスベルデス,カリフォルニア 3日 ロイター]
REUTERS

 人工知能(AI)と機械学習は神のような能力を持つ非常に知的なコンピュータを生み出し、人間は脳に“ニューラルレース”を埋め込まなければ、そうしたコンピュータについていけなくなる――。電気自動車ベンチャーTesla Motorsと宇宙ビジネスベンチャーSpaceXのCEOを兼任するイーロン・マスク氏は6月第1週に開催されたカンファレンスでIT業界のリーダーらにそう語った。

 透かしレースのような形状をした、人とコンピュータをつなぐインタフェースを脳に注射するというマスク氏の説明は、SFの世界の話のように聞こえるかもしれない。だがオンラインメディアRecodeが開催したこのカンファレンスでは、IT大手のトップ幹部らが「AIは今にも人々の日常生活を変えようとしている」との見方を口々に語った。

photo イーロン・マスク氏=2015年10月2日、ニューヨーク REUTERS/Rashid Umar Abbasi

 IT各社がAIやアナリティクス分野の開発に注力しているのは、よく知られていることだ。Bank of Americaは報告書において、調査会社IDCのデータを引用し、2013年には82億ドル規模だったAI市場が2020年には700億ドル規模に拡大するとの見通しを紹介している。

 AIは大量の生データを解析することで、結果を予測したりパターンを認識したりする技術。既にWeb検索システムやマーケティングのレコメンド機能、証券金融取引のプログラムなどに採用されている。Bank of Americaの報告書によれば、将来的にAIの採用は自動運転車やサービスロボットなどにも広がる見通しという。

 Alphabet傘下のGoogleのサンダー・ピチャイCEOは、AIを「非常に大きなチャンス」ととらえているという。Googleは3〜4年前から「ディープニューラルネットワーク技術」を通じて音声認識ソフトウェアにAIを活用しており、現在、機械学習の分野ではAmazon.comやApple、Microsoftといったライバルより先んじている、と同氏は語る。

 ただしピチャイ氏をはじめとする幹部らは、機械が自ら学習する“機械学習”の開発はまだ初期段階にあることを認めている。例えばMicrosoftは最近、学習型AIチャットボットをインターネットで公開するも、Twitterでの会話を通じて人種差別的な発言を“学習”してしまったため、すぐに公開を打ち切り謝罪する羽目に陥っている。

 Amazonのジェフ・ベゾスCEOは、向こう20年間でAIは社会に重大な影響を及ぼすようになると予想する。

 「まだ極めて初期の段階だが、私たちはもうすぐ黄金期を迎えようとしている。果たしてどのようなことが起こるのか。非常にエキサイティングなことになるだろう」と同氏は語る。

 Amazonは4年以上前からAIに取り組んでおり、現在は音声ベースのスマートアシスタントソフトウェアシステム「Alexa」の開発に1000人体制で取り組んでいるという。

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