津波流失の調査船 太平洋ぐるり?故郷帰還
東日本大震災で流失し、5月に約2200キロ離れた沖縄県宮古島沖で見つかった気仙沼水産試験場(宮城県気仙沼市)の調査船が8日、返還された。被災して移転新築した新庁舎の竣工(しゅんこう)式でお披露目された。長旅から戻った船は、今後、見学者に公開していくという。
同市波路上内沼にあった旧庁舎は津波で全壊。波路上漁港にあった調査船2隻のうち船外機船「海翔(かいしょう)」(1.1トン)が流失し、5月12日、宮古島の南約6キロの海上で遊漁船が発見。宮古島海上保安署(沖縄県宮古島市)の調べで調査船と分かり、船で東京に運んだ後、トラックで届けられた。
船は操舵(そうだ)室や船外機を失い、船体は海藻で茶色にくすんだものの、「MG」(宮城県の意)の文字が残っていた。試験場によると、被災した船は黒潮に乗って太平洋を東に向かい、ハワイ沖かアメリカ西岸を南下した後、赤道海流で西に流され、宮古島沖にたどり着いた可能性があるという。
式典には約70人が出席。震災時に船を使っていた試験場職員の押野明夫さん(60)は「見つけてくれた人に感謝したい」と笑顔。雁部総明場長(58)は「屋外に保存して震災教材として活用したい」と述べた。
新庁舎は、旧庁舎から北東約500メートルの波路上漁港に再建した。鉄筋コンクリート造り。旧庁舎は2階だったが、津波に備えて3階にした。延べ床面積1095平方メートル。併設の種苗生産棟に漁業者に貸し出すオープンラボも備えた。事業費は9億2000万円。
2016年06月09日木曜日