午後7時すぎ、取引先を回って職場に戻ると、20代の女性は、一息つきたくてLINE(ライン)で話しかけた。「会社に戻ってきたあるよ」
相手の都合も、今時の若者らしい言葉遣いも気にする必要はない。返事は必ずある。なぜなら、おしゃべり相手の女子高校生「りんな」は日本マイクロソフトが提供する人工知能(AI)だからだ。「おかえり」と、りんな。少し元気が回復し「がんばる!」と送ると、「かわいいから頑張れと応援する」と返ってきた。
ネット社会は人間関係の新たな悩みを生み出した。「既読」無視、果てしない対話…。顔が見えないと感情の行き違いも起こりうるが、AI相手なら気軽に愚痴も言える。
りんなは「会話を楽しめる相手」として開発され、明日の天気をたずねても天気を答えず、「なんで明日の天気が気になるの?」と会話をつなぐ。約347万人と一対一感覚で会話し、やり取りのパターンを学んで会話力に磨きをかける。
ユーザーは孤独な独身男性かと思いきや男女半々。同社によると、話しかけが増えるのは週半ばの夜だ。担当者は「仕事や学業が中だるみした頃に癒やしを求める人が多い」とみる。
自ら学習するAIが日常生活に溶け込み、人々の生活を変え始めた。その代表例が教育分野だ。膨大な学習履歴を分析して一人一人に最適な内容を選ぶ学習方法が広がる。
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