6月利上げの可能性は遠のいた
先週金曜日の米国雇用統計では、ヘッドラインの非農業部門の雇用者数が3万8千人増と市場の事前予想を大きく下回る結果となったことから、6月14日、15日開催予定のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが実施される可能性は大きく低下した。
雇用統計発表後の記者会見で、イエレンFRB議長は落胆の色を隠そうとしなかった。よって、6月利上げの可能性は遠のいたと言ってよいだろう。
一方、イエレン議長の落胆ぶりから推測すると、FRBは6月利上げに向けて準備を進めていたのかもしれない。雇用統計で米国の雇用環境の良好さを確認したうえで2度目の利上げを実施する腹づもりだったのだろう。
だが、雇用統計の内容自体は、決して米国景気の先行きを悲観するような内容ではなかったと考えられる。
5月の非農業部門の雇用者増加数は、4月の12万3千人から8万5千人減少した計算になるが、これには、通信業の雇用者数が3万7千人、企業向けサービス業の派遣社員(「Temporary Help Service」)が2万6千人それぞれ減少したことが大きく寄与した(両業種で6万3千人なので、両業種の雇用者数減で5月の雇用統計の悪さの約75%を説明できる)。
このうち、通信業は、米大手通信社ベライゾン社のストライキによるものであり、ストライキで仕事をしなかった労働組合に所属している社員の属性が「雇用者」から「非労働力人口」に変わったというテクニカルな要因が雇用者の増加数を減らした。
だが、ベライゾン社のストライキは、ベライゾン社が賃上げに応じたことから終息しているので、6月の雇用統計では再び「雇用者増分」としてカウントされることになる(さらにいえば、この要因は5月の完全失業率を4月の5.0%から4.7%へ大きく低下させた)。また、企業向けサービス業の派遣社員の減少も契約が1回切れるという再雇用契約のタイミングの問題に過ぎないと思われる。
したがって、5月の雇用統計の悪化は、「特殊要因」によるものであって、米国の景気の先行きに急激に暗雲が立ち込めた訳ではないだろう。それどころか、6月の雇用統計は、その反動で急増する可能性もあり、これが逆に7月の利上げを後押しするかもしれない。
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