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 燃費データの不正問題を起こしたスズキは8日、責任を取って鈴木修会長兼CEO(最高経営責任者、86)がCEO職を辞任すると発表した。代表権がある会長職は続ける。問題の再発防止に向けて、38年にわたる鈴木会長のワンマン体制から「チーム経営」に移れるかどうかが問われている。

 同日、国土交通省に報告し、記者会見して発表した。技術担当の本田治副社長は退任する。会長や社長は賞与を返上し、月額報酬も30~40%、半年間返上する。不正に関わった部門の管理職も処分する。人事は29日の株主総会日付。

 スズキは2010年以降に発売した26車種計214万台(他社への供給分含む)で、燃費試験のデータ(走行抵抗値)を不正に計測していた。国が定めた方法で車を走らせる試験をせず、部品ごとに測定するなどしてデータを算出し、国に申告した。燃費のかさ上げはなかったとしている。鈴木会長の長男の鈴木俊宏社長(57)は、「開発部門の自浄作用が働かず、法令違反の認識も希薄だった」と釈明した。

 そして、鈴木会長は、「不正を厳粛に受け止め、経営責任を明確にする」とCEO職から退くと表明した。「反省しながら指導していくのが責務と考え、会長は続ける」としつつ、経営トップを新CEOに譲り、今後は「チームでやっていく」とした。「最高経営責任者は新しい人にやっていただきながら、私も補佐をしていく」と述べた。新CEOは、鈴木社長が有力とみられる。

 再発防止策では、技術者の法令違反に関する研修を充実させる。閉鎖的とされた開発部門と、営業や生産部門との人事交流を進める。海に近いテストコースに防風壁を設置し、正確にデータを計測できる体制も整える。(山本知弘)