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 切符の運賃表や駅名板、車内放送用のアナウンス機器……。経営再建を進めるJR北海道の廃線が決まった路線で、鉄道備品の盗難被害が相次いでいる。狙われるのは利用客が少ない無人駅が多い。なぜ盗まれるのか。

 日本海に沿ったJR留萌(るもい)線の留萌―増毛(ましけ)間(9駅)。JR北が今年12月の廃止を届け出たこの区間の無人駅で事件は起きた。

 昨年10月、増毛駅(増毛町)の水産加工品販売店の従業員が、駅舎内の壁にネジで固定されていた切符運賃表(縦40センチ、横60センチ)がなくなっているのに気づいた。

 この区間で唯一の有人駅の留萌駅から駅員が確認に向かうと、ホームの柱にステンレス製のベルトで固定されていた2枚の駅名標示板(縦1メートル、横20センチ)もなくなっていた。

 このほか、同じ区間の舎熊(しゃぐま)駅(増毛町)で2枚、礼受(れうけ)駅(留萌市)で3枚、瀬越(せごし)駅(同)で1枚の駅名板が盗まれていた。

 JR北の駅名板を管理する北海道ジェイ・アール・エージェンシー(札幌市東区)によると、道内には約5千枚の駅名板が設置されており、毎年20~30枚がなくなっている。多くが盗難とみられている。留萌線で盗まれた駅名板については「また盗まれれば、いたちごっこになる」(担当者)として、新たに取り付けることは考えていないという。