北朝鮮レストラン従業員の脱北、中国在住韓国人が語る内幕

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 北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」は7日、先月まで中国陝西省渭南市の北朝鮮レストランで働いていた女性従業員2人と別の女性1人の写真を公表し「(韓国)国家情報院による組織的かつ計画的な強制拉致によりさらわれた」と批判した。同サイトはさらに「国家情報院の指示により、誘引拉致の蛮行を行った男たちだ」とした上で、韓国人男性2人と朝鮮族男性1人の身元やパスポート番号なども同時に掲載した。

 北朝鮮により身元が公表された男性の1人であるユン・ジェホン氏は7日、本紙の電話インタビューに応じ「拉致どころか、北朝鮮女性たちの方から先に救助を求めてきた」「国家情報院とは何の関係もない」などと反論した。ユン氏は中国で脱北者の支援活動を行っている。

 ユン氏によると、問題の女性従業員2人は昨年末まで上海の北朝鮮レストラン「平壌先鋒館」で2年間働き、その間は携帯電話の使用や外出も自由にできたという。また当時、上海市内で事業を行いこの食堂によく通っていた韓国人たちとも連絡先をやりとりするほど親しかったようだ。

 ところがこの平壌先鋒館は経営難の影響で昨年閉鎖されたため、渭南市で中国人が経営するしゃぶしゃぶレストランに拠点を移した。平壌先鋒館は中国人オーナーと合弁の形でこのレストランの経営を続ける契約を結んだことから、従業員たちも渭南市に移った。しかしその後も上記の2人の従業員は上海の韓国人らとメールのやりとりを続けていたようだ。

 その後、今年4月に浙江省寧波市の北朝鮮レストランから13人の従業員が集団で脱出した事件が報じられると、2人の女性従業員も韓国行きの決意を固め、上海の韓国人男性らに支援を求めた。韓国人らはソウルで脱北難民人権協会を運営するキム・ヨンハ氏に連絡し、キム氏は中国で脱北者支援活動を行うユン・ジェホン氏を紹介した。ユン氏によると、本来は3人の女性従業員が脱出することになっていたが、1人が最後に考えを変えたため2人だけ韓国に送り出したという。

 ユン氏は電話インタビューで「先月15日、2人はレストランから逃げ出し、タクシーで約束の場所に来た。それから雲南省まで2日かけてバスで移動した」「これがもし拉致なら、中国語が堪能な2人はすぐ通報でも何でもしたはずで、おとなしくついてくるはずがない」として北朝鮮の主張に反論。その上でユン氏は「北朝鮮が拉致だとでっち上げても、海外から韓国を目指す北朝鮮の人たちは非常に多い」と指摘した。2人の女性従業員は中国国境を歩いて通過し、ラオスを経てタイに到着。先週タイで韓国行きの飛行機に乗った。

キム・ミョンソン記者
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