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【緊迫・南シナ海】常設仲裁裁判所へのフィリピンの提訴「断固反対、取り消しを」 中国外務省が声明 裁判所の判断控え前哨戦

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【緊迫・南シナ海】
常設仲裁裁判所へのフィリピンの提訴「断固反対、取り消しを」 中国外務省が声明 裁判所の判断控え前哨戦

 【北京=西見由章】中国外務省は8日、南シナ海の領有権をめぐってフィリピンが提訴した常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の仲裁手続きについて「双方が協議を通じて紛争を解決する立場」を強調し、手続きの停止を求める声明を発表した。裁判所が近く判断を示すのを前に、対中強硬路線の転換を示しているフィリピンのドゥテルテ次期大統領との対話を模索する動きとみられる。

 声明は2013年1月のフィリピンによる提訴について「南シナ海の紛争を解決するための対話のドアを閉ざし、情勢の急激な悪化を招いた」と非難。「フィリピンの一方的な行動に断固として反対する」と主張し、裁判所の判断に従わない姿勢を改めて示した。

 7日まで北京で開かれた「米中戦略・経済対話」や習近平国家主席とケリー米国務長官らとの会談で中国側は、南シナ海の問題をめぐって一切譲歩しない立場を示している。一方で、裁判所が中国に不利な判断を示すことが予想されることから、中国側は国際世論における孤立を懸念。6月30日に大統領に就任するドゥテルテ氏に向け、硬軟織り交ぜて提訴の取り下げを迫っていくとみられる。

 消息筋によると、中国が実効支配を進めるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるスカボロー礁ではここ1カ月ほど、中国側がフィリピン漁民への“規制”を緩める動きがあるという。

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