昨年9月にディーゼル車の排ガス不正が発覚したドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が、韓国でのみリコール(回収・無償修理)や補償などの措置をきちんと履行しておらず、批判の声が出ている。
VWはディーゼルエンジンに違法なソフトウエアを搭載して排ガス規制を逃れており、不正対象車は全世界で1100万台以上に達する。米国では不正を認め、補償する方針を発表し、欧州でもVW車の購入者に追加で課される環境関連の税金を負担する姿勢を示して事態の収拾を図った。だが韓国では、顧客の不満解消に動くどころか不正も認めておらず「韓国を軽視している」と声も上がっている。
韓国環境部(省に相当)は7日、VWの韓国法人が国内で販売された対象車約12万台に対するリコール計画を承認せず、再提出を求めたと発表した。同部はこれまでに2回、「内容が不十分」などとして計画書を突き返しており、3度目の提出となる今回も認めなかった。同部の関係者は「VWにリコール命令をきちんと履行する意思があるのかどうか疑わしい」と述べ、リコール命令の不履行に関する検察の捜査が本格化する見通しだと伝えた。現行の大気環境保全法は、リコール命令を履行しない場合には5年以下の懲役または3000万ウォン(約280万円)以下の罰金刑に処すと定めている。
VWは今年1月、最初のリコール計画書を提出したときから不誠実な態度を見せた。この計画書では欠陥の原因について「ソフトウエア装置により、一部環境で道路を走行した場合に窒素酸化物(NOx)の排出量が増加する可能性がある」と記されていただけで、改善計画についても「ソフトをアップグレードする」と簡単に書かれていた。