【社説】韓国の構造調整、産銀任せは時代に合わない

 韓国政府が韓国産業銀行(産銀)に赤字企業の整理を任せる構造調整方法をめぐり、時代遅れだとの指摘が上がっている。産銀は1997年のアジア通貨危機以降、絶えず構造調整の1次的な責任を負ってきたが、整理すべき企業に資金を支援して延命させるばかりで、赤字企業の「ごみ捨て場」も同然になってしまったと批判される。

 産銀は造船大手の大宇造船海洋を16年にわたり管理し、7兆ウォン(現在のレートで約6500億円、以下同じ)をつぎ込んだが、会社が存続できるかどうかは未知数だ。3年間で4兆5000億ウォン(約4200億円)を投じたSTX造船も、先ごろ法定管理(会社更生法適用に相当)を申請した。産銀がメーンバンクの現代商船、韓進海運も同様だ。産銀が抱える赤字企業の売上高を基に「48兆ウォン(約4兆4000億円)のゾンビグループ」という言葉まで生まれた。

 産銀は、政界や政府が外圧を行使するため仕方がないと抗弁する。だがそれよりも、産銀が経営難の企業を分析し、処理するだけの専門性と能力を備えていないことの方が大きな原因だ。放漫経営と天下りも問題だ。産銀の行員の平均年収は1億ウォン(約930万円)近く、ここ5年間に退職した役員48人全員が傘下の子会社に再就職した。こんな「神の職場」である産銀が、構造調整をしっかりやれると期待すること自体に無理がある。

 そもそも、政策銀行に経済政策の実行と赤字企業の整理までを任せるモデルそのものが、すでに時代にそぐわないのだ。1954年に設立された産銀は、経済開発の過程で有望企業に中長期の投資資金を貸し付け、道路や鉄道などのインフラ整備に一助した。だが、民間企業の自律性が尊重される市場経済が定着した2000年代以降は存立基盤を失った。

 韓国よりも先に政策金融機関を設立したドイツや日本は、これを民営化して政策金融機能を最小化した。日本は韓国の産銀と似た日本興業銀行をすでに民営化し、政策金融機関を9年前に統廃合して一つに減らした。

 李明博(イ・ミョンバク)前政権は産銀の政策金融業務を切り離して政策金融公社を設立し、産銀を民営化しようとしたが、失敗した。民営化に反発する産銀と官僚組織の抵抗が大きく、朴槿恵(パク・クネ)政権に入って再び元通りにまとまった。しかし、産銀をこのままにしておいては、死ぬべき「ゾンビ企業」が産銀の保護の下で生き長らえ、産銀は国民の税金で延命するという悪循環が続く。政府が新たな政策金融機関のモデルを作らなければ、この先もゾンビ企業、ゾンビ銀行の延命に税金をつぎ込まざるを得ない。

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