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SAPジャパンは6月8日、PaaS(Platform as a Service)型クラウドサービス「SAP HANA Cloud Platform」について、新たに国内2カ所(東京と大阪)のデータセンターからサービスを提供すると発表した。東京データセンターは2016年第4四半期(10~12月)、大阪データセンターは2017年第1四半期(1~3月)に提供を開始する。
HANA Cloud Platformとは、インメモリ型のリレーショナルデータベース管理システム「SAP HANA」を中核に据え、この上にアプリケーション開発用の各種ミドルウエアを用意して、これらを月額制のクラウドサービスとして提供するPaaSだ。SAP HANAのライセンスを含め、利用ベースの課金となる。このため、あらかじめSAP HANAのライセンスを購入しておく必要はない。
HANA Cloud Platformの特徴を、SAPジャパンで代表取締役社長を務める福田譲氏は、「ビジネスのコンテキストを多く含んだPaaS。ビジネスの視点で使い勝手がいい」と形容する。「あるユーザーは、PaaS上の情報ポータルを介して社内システムのERPにアクセスしている。このように、既存のERPに手を加えることなく、ある日突然フロントエンドだけを入れ替えるといったこともできる」(福田氏)。
同社が国内でHANA Cloud Platformの提供を始めたのは、2015年のこと。これまでは、海外のデータセンターから同サービスを提供してきた。今回、国内のデータセンター2箇所(東京と大阪)からサービスを提供できるようにした(図1)。これにより、DR(災害時復旧)用の遠隔地バックアップ環境を含めて国内のデータセンターだけでリソースをまかなえるようになった。
なお、東京と大阪のデータセンターでは、2014年4月の開設以来、SAP HANAベースの業務システムを動作させるのに必要なシステムリソース一式を運用サービス込みで提供するマネージド型のインフラサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」を提供してきた。同サービスはSAP HANAのライセンスをユーザーが持ち込む必要があり、今回のPaaSとはサービス内容が異なる。
SAPジャパンのクラウド事業は、2015年に前年比で193%増と約3倍に増えている。福田氏は、「ERP(統合業務パッケージ)を含め、クラウド化が進展している。我々が考えていたよりもペースが速い」と状況を説明する。
クラウドサービスに関連して、「今後は業務システム同士のAPI連携が進む」と福田氏は見ている。「昔は、ポケベルやケータイを持っていないと飲み会に誘われなくなるので、危機感を持ってこれらを入手した。今の企業も同じ。あなたの会社はリアルタイムに会話ができないんですか、と言われる時代になる」(福田氏)。
多くの企業においてITに求められる役割が、「守り」のコスト削減から「攻め」のビジネス貢献へとシフトしつつある。その中でIBMが提唱する新たなビジョンEnterprise Hybrid ITとは?
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