関口一喜 イチ押し週刊誌

激安弁当は「味覚」を破壊する!

  • 文 関口一喜
  • 2016年6月8日

写真:激安弁当は食材、調理法、保存状態、衛生管理に不安を感じさせるものが少なくない
激安弁当は食材、調理法、保存状態、衛生管理に不安を感じさせるものが少なくない

写真:女性自身(光文社)2016年6月14日号
女性自身(光文社)2016年6月14日号

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 昼食に出掛ける時間がないときなどは近くでお弁当を買うのだが、300円以下の激安弁当は<「味覚」を破壊する!>といわれてドキリである。食材、調理法、保存状態、衛生管理に不安を感じさせるものが少なくないと『女性自身』(6月14日号)で、食品コンサルタントの河岸宏和さんが警鐘を鳴らしている。

 そもそも、激安弁当の原価はいくらぐらいなのか。300円のうちお店の利益がだいたい100円、家賃や設備費53円、人件費42円で、原材料費はわずか105円ほどだ。105円でごはん、おかず、和え物、漬け物まで揃(そろ)えるのはかなり難しいだろうに、それを可能にしている驚くべき舞台裏を河岸さんが明かしている。「食材には、“売れ残り”を使用せざるを得ないのが現状です」「(激安スーパー)の店頭で生肉として売られていた鶏肉は、消費期限を迎えたりすると、腐らないよう冷凍保存されます。これを調理して(から揚げに)使っていることが多いです」「とんカツは大豆などから抽出した植物性タンパク質を混ぜることで、元の量の150パーセント程度に“かさ増し”できます」

 ごはんも「多くの場合、コメは『国産』と表示されているので、どれも同じように見えます。しかし激安弁当の場合、基本的には古米・古古米が使用されることがほとんど」だ。コンビニ弁当は新米を炊いて、すぐ20度近くまで温度を下げる。温かいままだと菌が繁殖して食中毒のリスクが高まるからだが「激安弁当では、そこまで衛生的に管理された設備は期待できません」。

 栄養のバランスにも問題があるという。コストも調理の手間もかかる野菜は少なく、全体の味付けも日持ちさせるために塩味を濃くしている。こうした食事を続けていると、とりわけ子どもたちは、将来「味覚や健康面に問題が出てくる可能性がある」と心配している。

 河岸さんは、激安弁当がすべてダメだと言っているわけではない。「激安でも良心的なお店は存在する」として、見分け方を教える。スーパーで閉店時間が近づいたときに、消費期限切れが近い肉類に『半額シール』などが貼ってあれば、使い回しの可能性は低い。使っているお米の産地や生産年度を尋ねて、きちんと答えられるようなら店内で調理していると判断していいそうだ。

 そして「消費者が激安を求めているから、そこに価格競争が生まれます。しかし、価格と健康を引きかえていいのでしょうか」と、安さばかりを求める消費者にも問題があると忠告する。

PROFILE

関口一喜(せきぐち・かずのぶ)

1950年横浜生まれ。週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。コラムニスト。

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