モハメド・アリが亡くなった。プロボクシングが生んだスーパースターの人生は伝えられるべきことが多い。そんななか、私は気になったのである。一般紙はあの「猪木アリ戦」をどう伝えるのか。いや、伝えないのか?
'76年におこなわれた異種格闘技戦は今でこそ総合格闘技の礎として評価されるが、当時は「茶番」として伝えられた。このいわくつきの試合を、マスコミはアリの経歴に入れるのかどうか。野次馬としてはたまらない。
6月5日の朝刊をすべて読んでみた。まずアリの死を伝える各紙の一面見出しを並べてみる。
『リング外 差別とも闘う モハメド・アリ氏死去』(読売)
『信念の拳 世界を揺るがしたモハメド・アリさん死去』(朝日)
『差別と闘った元王者 ムハマド・アリさん死去74歳』(毎日)
『ムハマド・アリ氏死去 74歳元ヘビー級王者、黒人解放』(産経)
『ムハマド・アリさん死去 反骨の元ヘビー級王者』(東京)
『拳の英雄、差別・病と闘い アリさん死去 聖火ともし感動呼ぶ』(日経)
6紙が伝えるアリの経歴で「猪木アリ戦」に触れたのが毎日、産経、東京、日経の4紙だった。朝日と読売の2紙はスルー。
そのかわり朝日は社会面で猪木アリ戦について「世紀の異種戦 心躍った」と触れた。絶妙なのは作家の村松友視氏(著作に『私、プロレスの味方です』がある)に語らせていたことだ。
村松氏は猪木アリ戦について『スポーツとみられていなかったプロレス界の男と、五輪金メダルをとった世界一のボクサーが試合をする。八百長で引き分けになるのではという見方もあり、一気に興味が膨れあがった。』とふりかえった。
最後の部分に注目したい。「八百長で 引き分けになるのではという見方」があるからこそ「一気に興味が膨れあがった」というのは、いかにもプロレス者らしい村松氏の見方・楽しみ方である。朝日新聞の読者にその行間は伝わっただろうか。
読売も社会面で猪木アリ戦に触れていた。アリを偲ぶ猪木のコメントを載せながら『当時は茶番の声もあったが、アリ氏は猪木氏さんに対し、「あんな怖い試合はなかった」と語ったという。』と書いた。真剣勝負だったことを報じている。
こうしてみるとわかることがある。
朝日、読売は一面で報じるアリの「公式の経歴」には猪木アリ戦は入れていない。そのかわり社会面に載せている。言うところの「三面記事」である。一面(世の中の公式的な動き)では扱わないが、欲望渦巻く三面記事では触れざるを得ない。まさにプロレスと猪木の立ち位置を証明しているではないか。面目躍如である。
スポーツ紙に目を転じてみると、各紙大きく猪木アリ戦をふりかえっていた。
面白かったのは日刊スポーツ。猪木アリ戦を伝える「1976年6月27日本紙」を復刻版で載せていた。その見出しをみると当時の空気がわかる。
『世界中に笑われたアリ・猪木』『"スーパー茶番劇"なにが最強対決』『サギだ!ペテンだ!』
罵詈雑言一色。
観戦した張本勲(当時・巨人選手)のコメントも載っていた。『僕は初めから引き分けだろうとみていた。あんなことするから八百長だなんて声があがるんだよ。』
張本は今と変わってないとも思えるし、「喝!」をテレビ番組でサービスする現在とは別のリアルに冷たい視線とも言える。これはそのまま当時の世間の視線だろう。
罵声も嘲笑もふくめ、アリと猪木の戦いは世間をたぎらせた。今年はあれから40年である。
Written by プチ鹿島
Photo by モハメド・アリ かけがえのない日々
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