回答者2です。
既に回答5で正確な補足をいただいたのですが、他の回答への説明を兼ねた追加補足をしておきます。
「磁性」という用語が非常に曖昧で、研究現場でも専門外の研究者の間では良く誤解されています。
通常は、磁石にくっつく=「強磁性」or「フェリ磁性」と考えて良いです。どちらも、原子レベルの磁石(原子スピン)が強く結びついて、物質全体に「自発磁化」というものを作っています。本来、自分自身が磁石になる性質を持っています。ただ、通常の鉄やコバルトなどは、磁場が無いとミクロンぐらいのサイズの「磁区」という単位で、磁化の方向を変化させて全体として磁化が打ち消されてしまう構造を取ってしまいます。
紛らわしいのが、回答5にも説明されている「常磁性」です。これは、原子自体には磁石(原子スピン)が有るのですが、原子間のスピンの結合が弱いために「自発磁化」が作れず、熱ゆらぎの効果で原子スピンが一定方向に向けません。しかし、磁場が有れば、その強さに比例して(比例係数を磁化率と呼ぶ)少しずつ磁場方向に原子スピンが揃っていくので、「磁化」が出てきます。
ただし、この磁化はさきほどの強磁性やフェリ磁性の磁化に比べて非常に小さいので、ほとんどの常磁性物質では磁場で物質を動かすほどの力になりません。
ところが、酸素分子に関しては、比較的大きな原子スピンを持っている上に原子自体が軽いので、1g当たりの磁化率がかなり大きな値になり、強い磁場中でなら動きやすい気体の酸素は少し動きに影響が出る場合も有ります。それでも、その程度の非常に弱い力ですし、イオンになった酸素は反磁性になって磁化率は激減します。回答5の説明のように、ヘモグロビンの中の酸素も磁性は無いようですね。
ヒップエレキバンに関しては、メーカー側は統計的なデータで効果を主張しているそうですが、磁性材料研究者の感覚からすると、とても化学的な効果が出るようには思えません。精神的な効果ではないでしょうかねー?(笑)
また、化学分野での磁性を利用した測定などでは、酸素の常磁性は非常に大きな値となるために、化学方面の研究者の中には酸素を「磁性体」と勘違いor習慣的に呼んでいる人もけっこう多いので、注意が必要です。
次に、ここまでの説明の「スピン」とは、全て電子のスピンです。実は、原子核(中性子+陽子)もスピンを持っています。しかし、その大きさは電子のスピンの約1/1000で、物質の磁気的性質に影響を与えることは無く、磁石で引っ張る力にはとてもなりません。電子のスピンを普通に「スピン」と呼ぶのに対し、原子核のスピンは「核スピン」と区別して呼びます。
この原子核のスピンを強い磁場で方向を揃え、さらに電磁波を使ってエネルギーを与えると、特定のエネルギー(周波数)の電磁波に対し強い吸収(共鳴)を示すので、それを電気的に検出することで原子の状態を調べる核磁気共鳴という測定法が有ります。この手法を応用して、主に生体内の水素原子の核磁気共鳴信号を二次元的に画像処理したものがMRI(核磁気共鳴画像法)です。従って、この場合の「磁気」は、磁石にくっつくような「磁気」とは強さも起源も全く違うものです。
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