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警視庁国際テロ資料流出、9千万円賠償が確定
警視庁公安部が作成したとされる国際テロ関連資料のデータがインターネット上に流出しプライバシーを侵害されたとして、イスラム教徒17人が国と東京都に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)はイスラム教徒側の上告を退ける決定をした。都に約9千万円の賠償を命じた1、2審判決が確定した。決定は5月31日付。
1審東京地裁は「データは警視庁外事3課が保有していたもので、警察職員が外部記録媒体で持ち出した。同課内の管理体制は不十分だった」と認定。データ流出から約1カ月で1万台以上のパソコンにダウンロードされたことから「原告のプライバシー侵害、名誉毀損(きそん)の程度は甚大」として都に約9千万円の賠償を命じた。2審東京高裁も1審を支持して原告側、都側それぞれの控訴を棄却。原告側が上告していた。
1、2審判決によると、平成22年10月、国内在住のイスラム教徒の個人情報を含む114点のデータがネットに流出。警視庁が「内部資料の蓋然性が高い」として偽計業務妨害容疑で流出元を捜査したが、25年に公訴時効となった。