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【社説】

舛添知事と議会 けじめのつけ方追及を

 舛添要一東京都知事は第三者に注意されないと、政治資金の適切な使い方が理解できない。自ら頼んだ弁護士の調査でも、それがはっきりした。都議会はけじめのつけ方を徹底追及せねばならない。

 都議会ではきのう本会議で代表質問が行われ、実質審議入りした。舛添氏の政治資金流用問題が主たる焦点だが、肝心なのは、納得のいく責任の取り方を引き出せるかだ。与野党を問わず、市民目線でのチェック機能が問われる。

 自らの疑惑調査を託した弁護士の報告書で明確になったのは、目に余る公私混同ぶりだ。家族旅行の宿泊費、料理店での飲食費、書籍や美術品などの購入費…。これらの支出の一部は不適切だったと指摘された。

 舛添氏は個人資産から弁済したり、公用車で通った神奈川県湯河原町の別荘を売却したりしてけじめをつけ、都民の信頼回復に向けて仕事にまい進するという。

 市民感覚とはなにか。

 例えば、刑法の窃盗、詐欺あるいは業務上横領といった財産絡みの犯罪をみれば、不当利得さえ返せば免責されるというものではない。他人のお金と向き合う時の市民の良識や道徳観は、こうした峻烈(しゅんれつ)な感覚に根ざしていよう。

 確かに、政治活動の自由を守るためには、政治資金の使い道を法律で縛るのは難しい。だからこそ、公人また政治家には一段と高い見識や倫理観が欠かせない。

 失敗のけじめをつけるには、罪を償うのに匹敵するほどの誠実かつ厳正な心構え、振る舞いが求められよう。弁護士に調査を委ねる前は、公金や公用車の使い方の正当化に終始した舛添氏だ。そのことを心底分かっているだろうか。

 もっとも、弁護士の調査も違法か否かばかりに偏り、不十分だった。サラリーマンや商店主、主婦や学生らが参加していれば、道義的責任の取り方を含め、きっと異なる結論を出したに違いない。

 自宅に政治団体の事務所を構え、親族企業に賃料を払う。自らの似顔絵入りまんじゅうを配る。書道の筆の運びが滑らかになるよう着用する中国服を買う。

 これらの支出をも不適切ではなかったとした弁護士の価値判断は、およそ市民感覚から程遠い。

 街の人々は言う。無給で汗を流せ、美術館や書店の代わりに保育所や介護施設を訪ねよ、電車やバスに乗り、町づくりを考えよ、そして、もう辞職を…と。続投意欲を示す舛添氏が誓う「粉骨砕身」の具体を明らかにするべきだ。

 

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