僕には2人の妹がいる。1歳下の苺と2歳下のミルク。2人は正反対の性格で苺は明るく活発で、ミルクは暗く大人しい性格だ。
父は貿易関係の仕事をしていてアメリカに単身赴任、母は看護婦長として町の大きな病院に勤めていてほぼ家にいることはない。
共働きなのでお金に困ったことはないが、年頃の(僕18、苺17、ミルク16)妹たちの面倒をみる僕はかなり大変だったりする。
苺「兄貴、いつまで寝てんの!腹減った」
ミ「苺、お兄ちゃんは受験で大変なの」
僕「すまん。もう少しだけ寝かせて」
苺「本当はゲームしてるんじゃないの⁉︎」
ミ「違うよ。深夜のアニメ見てた」
僕「ごめん。マジで今日は起きれない」
苺「また学校サボるの?このひきニート」
ミ「苺、ひどいよ。言いすぎだよ…」
僕「頭が痛い。頼むから静かにしてくれ」
苺「朝メシは?」
ミ「お兄ちゃん、買ってあるよね?」
僕「あるよ。戸棚に入ってる」
苺「よくやった、褒めてやる!」
ミ「ありがとう。お兄ちゃん♡」
僕「行ってらっしゃい〜。zzz」
静かになった。2人が部屋から出て行くと僕は薬を飲み惰眠を貪る。夢の中へ、深く深く潜り込む。苺とミルクのいない世界。zzz
レースのカーテンが揺れている。6月の湿った風が窓から入ってくる。しとしと雨の音。相変わらずの偏頭痛。おかしい、なんでだ。
痛む頭をおさえながら、1Fの台所に行くといつものように、苺味のシリアルがテーブルの上に置いてある。白いボウルにはミルク。
なんでまだこれがここにある?
苺もミルクも僕の『部屋』から出て行ったはずだ。居間に飾られている写真をふと見た。父と母と僕だけが写っている。あれ?
苺とミルクは?あいつらはどこに行った?
苺『兄貴、ここだよ。いつも一緒だよ』
ミ『お兄ちゃん、わたしもいるよ』
妹たちが帰ってきた。いつもより帰りが早い。心配して帰って来たのだろう。僕は、3人分のボウルを用意して席に着いた。
苺、ミルク、僕。
「「「いただきます」」」
いつものように1人でシリアルを食べた。