新たな大型買収か、単なる経営苦境か
「新たな大型買収の準備との見方が強い」――。
孫正義氏が率いるソフトバンクが新たなM&A(企業の合併・買収)に乗り出すのではないかと、日本経済新聞は先週木曜日(6月2日)付朝刊で勇ましい進軍ラッパを吹き鳴らした。
ここへきて、虎の子である中国オンライン・マーケット大手「アリババ集団」株や、ゲーム業界の雄「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」株を売却して、同社が1兆2000億円弱の資金を手当てしたことが、その根拠という。
しかし、孫社長らしい「攻め」演出のための小型のM&Aならいざ知らず、今のソフトバンクに1兆円規模の投融資に乗り出す余力があるとは考えにくい。
というのは、ソフトバンクは、過去の拡大戦略のために発行した社債が大量償還期を迎え、今期も1年間で9000億円を超える資金を返済する必要に迫られているからだ。
新たなM&Aどころか、アテが外れた過去のM&Aの後始末に追われており、本来ならば手放したくない優良資産の「売り食い」に追われる経営の苦境が浮き彫りになったと読み解くのが正解ではないだろうか。
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