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【ヘイトスピーチ解消法】
施行後さっそく川崎・渋谷で大混乱 「言論の自由を妨害するな」×「ヘイトデモやめろ!」 DJポリスも出動し…
歩道には「レイシスト(差別主義者)帰れ」と書かれたプラカードを持つ人や、メガホンで声をあげて抗議する姿も。一方、「差別してない。お前ら邪魔だ」と怒り、詰め寄るデモ参加者もおり、警察官が必死に制止した。
デモは午後4時半ごろまでに終了したが、反対グループが参加者を取り囲もうとするなど騒ぎが続いた。けが人や逮捕者は出なかった。
専門家「互いに攻撃性強める傾向」
矢幡洋(臨床心理士)の話「集団同士のこういった対立は、互いに自分は正しく相手は百パーセント悪いと思うようになり、攻撃性を強めることに力を注ぐ傾向にある。どちらも自己批判を伴う「悩む」という力を失う。世界には真っ白と真っ黒しかなく、自分たちは正しいと非現実的なとらえ方をしてしまう。自己批判や自己吟味を回避できるため、非常に楽なのだが、現実が見えなくなってしまい危険だ。このスパイラルに入ると、なかなか和解の道は見つけられなくなる。話し合う余地のある相手と見ていないから、さらに攻撃して絶滅させるべき相手でしかないという見方になる。自分たちの主張もするが、自己批判も同時にできる心理的強さをもった人がリーダーシップを取るのが唯一期待できる解決への道だ。現実をちゃんと見られる現実主義者が団体の中でかじを取ってくれれば変わってくるのではないか」
ヘイトスピーチ(憎悪表現)解消法 5月24日に成立し、今月3日に施行された。ヘイトスピーチをなくすため、国や自治体に相談体制を整備することや教育、啓発活動を充実させるよう求めている。条文では、差別意識を助長する目的で著しく侮辱することなどを差別的言動と定義し「許されない」と明記している。一方で、憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、罰則や禁止規定はない。