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沖縄県議選 翁長県政が強化された

 米軍属による死体遺棄容疑事件を受け、反基地感情が高まるなか、沖縄県議選が行われた。翁長雄志(おながたけし)知事を支える共産、社民などの県政与党が引き続き過半数を維持したうえで、改選前から4議席を上積みし27議席を確保した。

     この結果は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題だけでなく、沖縄で米軍人や軍属による事件・事故が相次いでいることが影響したものだろう。日米両政府は、厳しい現実を受け止めるべきだ。

     死体遺棄容疑事件後、両政府は、政治的影響も考慮し、綱紀粛正と再発防止策を矢継ぎ早に打ち出した。

     在沖米軍は、軍人・軍属に対し、5月下旬から約1カ月間、基地外での飲酒、午前0時以降の外出などを禁止した。日本政府も、防犯カメラの増設や警察官の100人増員などの犯罪防止策を決めた。

     だが、その直後、県議選の投開票の直前に、またも米兵の飲酒運転による人身事故が起きた。

     事件・事故のたびに綱紀粛正、教育の徹底、再発防止策が叫ばれるが、小手先の対策ではもはや効果がないのではないか。

     県民の要望が強い日米地位協定の改定については、「軍属」の範囲の見直しに向けて協議を始めることで、日米防衛相が一致したものの、改定ではなく運用改善で対応する方針という。十分とは言えない。

     教育の徹底にしても、内容が適切なのかという疑問も出ている。

     在沖米海兵隊の新任兵士向け研修で、「基地問題に関する沖縄の世論は感情的で二重基準」「沖縄の政治は基地問題を『てこ』として利用する」など、沖縄への差別意識を拡大するような偏った資料が使われていたことが、明らかになった。これでは再発防止の教育にはならない。

     沖縄では、1月の宜野湾市長選で、安倍政権が支援した現職が、翁長氏が推す新人を退けたが、辺野古移設が争点になった選挙は、2014年の名護市長選、沖縄県知事選、衆院選と、移設反対派が勝ってきた。

     今回の結果は、辺野古反対の民意が変わっていないことを示している。翁長氏は「26議席以上は大勝利。新辺野古基地は絶対造らせないということは、今のままの形で取り組んでいきたい」と語った。

     これで翁長氏の基盤は強化されるだろう。安倍政権は、移設問題での硬直的な姿勢を改めるべきだ。

     県民の多くは地位協定の改定と、辺野古移設計画の見直しを含む基地の整理縮小を求めている。日米両政府は、その民意に誠実に向き合うことでしか、県民の信頼を回復できないだろう。

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