舛添氏の調査 これで続投に意欲とは
とても、続投のお墨付きにはなるまい。政治資金をめぐる公私混同疑惑について、舛添要一東京都知事が弁護士による調査結果を公表した。
その内容は政治資金の使い道の一部を不適切な私的流用と認定する一方で、違法性は否定している。舛添氏は「生まれ変わった思いで都政に全力を挙げたい」と表明したが、都民に受け入れられるとは思えない。
調査報告にのぞんだ舛添氏からは疑惑に区切りをつけようとする思いがにじんだ。
舛添氏は都知事就任前、家族旅行のホテル代を会議費として支出した疑惑などが指摘されている。先月の記者会見で「家族と泊まった部屋で会議をした」などと釈明したが、会議の人数も公表しなかった。
ネットオークションを通じての大量の美術品落札など、政治資金をめぐりほかにも数多くの問題が報じられている。だが、舛添氏は「第三者の目で精査する」との理屈で説明を拒み続けた。結果的に時間かせぎと取られても仕方がない対応だった。
やっと公表された調査結果にしても、本当に舛添氏が強調するような「厳しい調査」だったかは、疑問が残る。
舛添氏が依頼した弁護士は一連の支出を「違法ではない」として虚偽記載などの可能性を否定した。調査の進め方について「すべて聞き取りしなければいけないものではない」と強弁している。ホテルで会議をしたとするメンバーや会食の同席者などは、十分に裏付けられていない。
「適切」「不適切」を判断する基準も果たして妥当だったか。たとえば上海での中国服の購入について、書道で筆をスムーズに滑らせるという舛添氏の説明を「説得力がある」としている。あぜんとしてしまう。
それほど甘い調査でも家族が同伴した6件のホテル宿泊代や、14件の会食は私的だったと判定した。買い入れた多数の絵画や版画も「あまりにも多すぎ、趣味的色彩が強い」として不適切だと指摘した。
舛添氏は記者会見で「違法ではないが不適切だった」として反省の弁を繰り返した。だが、参院議員当時に新党改革から受け取った政治資金の多くは税金が原資の政党交付金だ。都政トップとしての資質が問われている。どれほど事態が重大かという認識が足りないのではないか。
都議会はきょうから各会派による代表質問がスタートする。一問一答形式による、総務委員会での集中審議も行われる見通しだ。
都民の代表として、どれだけ厳しい姿勢でのぞむかが試される。とりわけ都政与党である自民、公明両党の責任は大きい。知事の監視役としての役割を果たすべきだ。