断層表出 農業や住宅痛手 阿蘇市 地盤に緩み、稲作困難

熊本地震で新たに地表に出現した断層。田畑をぎざぎざに切り割いている=4月29日、熊本県阿蘇市
熊本地震で新たに地表に出現した断層。田畑をぎざぎざに切り割いている=4月29日、熊本県阿蘇市
写真を見る
熊本地震で地表に出現した断層が民家の土台部分の陥没を招いていた=4月29日、熊本県阿蘇市
熊本地震で地表に出現した断層が民家の土台部分の陥没を招いていた=4月29日、熊本県阿蘇市
写真を見る
写真を見る

 熊本地震の本震の影響で、熊本県阿蘇市内などに新たに出現した断層が、周辺住民の生活に悪影響を及ぼしている。川から田んぼに水を引く水路を破損させたり、住宅下の地盤を崩したりしているためだ。住民は余震の恐怖に加え、将来の生活不安を抱えている。

 本震は布田川(ふたがわ)断層帯が引き起こした。同断層帯は地震前、(1)同県益城町から、土砂崩れで流された阿蘇大橋(南阿蘇村)(2)益城町から宇土市中心部-など東西3区間と考えられてきた。

 ところが本震で、阿蘇大橋付近からさらに北東部、阿蘇外輪山の内側に広がる平野に、少なくとも約3・5キロにわたり断層が延びていることが研究者の調査で分かってきている。

 阿蘇市の阿蘇西小前の農道は、断層の影響で約2メートルも陥没。断層は水田などに広がり、広いところで幅が約100メートルに及んでいた。同小近くの狩尾地区の被害も大きく、断層上の住宅が傾いたり、道路が大きく陥没したりしていた。

 近くの稲作農家、古閑昭憲さん(62)は「川から水を引いているが、壊れた水路をすぐに修復するのは無理だ。今年は作付けができないだろう」と頭を抱えていた。

 住宅被害もある。山西和利さん(65)の自宅庭には亀裂が生じていた。「調査に来た専門家から、家の地盤は液状化で緩んでいる可能性があると言われた」と話し、「梅雨時期になって亀裂に雨水が入り込み、地盤が崩れるのが怖い」と不安げだった。

=2016/05/02付 西日本新聞朝刊=

Recommend

Recommend