クローズアップ現代

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No.38152016年6月2日(木)放送
“奨学金破産”の衝撃 若者が… 家族が…

“奨学金破産”の衝撃 若者が… 家族が…

“奨学金破産”の衝撃

ゲスト 小林雅之さん(東京大学教授)
ゲスト 尾木直樹さん(法政大学教授・教育評論家)

家族にまで破産の連鎖が行ってしまっている現状をどう見た?

尾木さん:僕、60代ですけれども、われわれの世代から見れば、これが僕が育った国なのかと思うぐらいショックですね。
ここまでひどいとは思わなかったっていうか。
だから、奨学金というシロアリが日本社会、土台をずーっと食い荒らしちゃって、家族から、あるいは離婚した先の奥さんのところまで崩壊させていくなんて、これはおかしいと思います。
それで、やっぱり基本的に学生が夢を持って、保育士の資格取って、就職したあと、全然おかしくない、夢、実現してるのに、それで生活できない、返済できないような低賃金だっていうのも大問題だし、だから本当に、能力や意欲を全部むだにしている、もったいないことで。
(本来は大切な制度だが…)
制度でおかしくないのに、出た社会がおかしいということもありますよね。
だから皆さん、払わないんじゃなくて、払えない現状、これは大変だと思います。

そもそも奨学金制度がどういうものか、簡単に説明すると、学費などのためにお金がなかなか難しいという場合はお金を借ります。
無利子のものもあるが、基本的には利子がつくものは、それを社会人になって返済していく仕組み。
ただ条件によっては、一定期間、支払いを猶予してもらう仕組みもあるが、それを超えると、利子に加えて、結構なボリュームですが、延滞金も上乗せされて、極端な場合は、もともとの元金を上回ることもある。
なぜ破産にまで追い詰められる人が急増しているのか?

小林さん:結局、日本社会全体の問題として、以前のように終身雇用制だったら安定した収入がありましたから、返せたんですけれども。
今のように非正規の方が多くなって、返せないという人も増えているという、これが一番根本の問題です。
ですから、奨学金の問題だけじゃなくて、社会全体の問題なんです。
(親がなんとか返さなきゃいけない、督促状まで受け取ってしまう現状だが?)
日本の場合には、親が子どもの教育に責任を持つという考え方が非常に強いので、家族全体で考えるということになってしまうんですね。
それが一番、逆にいうと、社会が支えるっていう考え方にならない部分なんです。

このように自己破産の件数が増えてきているきっかけの一つが、奨学金の回収が強化されてきたことなんです。
国が推し進めてきた、あの構造改革の一環として、奨学金事業が見直され、日本育英会から、日本学生支援機構が事業を引き継いだのです。

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