バヒド・ハリルホジッチ監督就任以来、1試合7得点は国際サッカー連盟(FIFA)ランキング3ケタ台のアジア勢を相手にもなかった記録。岡崎慎司が先制し、香川真司が加点、吉田麻也が2点を決め、宇佐美貴史がゴール隅に送り込み、そして浅野拓磨がPK。「素晴らしい試合だった。ハイレベルな攻撃で、選手たちにブラボーと言った」と、監督も絶賛した。だが守備面では、小さくない課題も出た。
■立ち上がりからハイテンポな攻撃
5年ぶりに開催されたキリンカップ。4カ国がトーナメント方式で争うその初戦、3日に愛知・豊田スタジアムで行われたブルガリア戦で日本代表は攻撃の大黒柱・本田圭佑を故障で欠いたものの、立ち上がりからハイテンポな攻撃をかけ、7―2で快勝した。
ブルガリアが特に悪かったわけではない。この試合前に行われたボスニア・ヘルツェゴビナ―デンマーク戦の両チームと比較すると、守備組織もしっかりしており、攻撃面ではボールなしの動きが豊富で非常にモダンなサッカーをしていた。
4―0と差が開いた前半だったが、試合の形勢としては15分以降は「互角」といってもいい展開だった。ただ、相手のペナルティーエリアに迫る回数は似たようなものでも、日本にはそこからさらに入っていき、シュートまで持ち込む力があったのに対し、ブルガリアはシュートに持ち込めなかった。そして日本は驚くべき確率でそのシュートをゴールに送り込んだのだ。
その差は、相手ペナルティーエリアに入るスピードにあった。
この日の日本はGK川島永嗣、DFは右から酒井宏樹、吉田、森重真人、長友佑都、MFは長谷部誠と柏木陽介をボランチに置き、2列目は右から小林悠、香川、清武弘嗣、そして1トップに岡崎。
試合を活性化したのは、柏木―清武―香川のトライアングルだった。すばらしいテンポでパスが回り、そこに相手が引きつけられると岡崎が裏に飛び出し、サイドバックがオーバーラップして突破する。そのスピードにより、大柄な選手を並べたブルガリアの守備陣に的を絞らせなかった。
■シュートの決定率、前半は50%
そして待望の「決定力」。前半放ったシュートは8本、そのうち4本をゴールに送り込んだのだ。シンガポール相手に次々と決定的なチャンスをつくり23本ものシュートを放ちながら一度もゴールを割れなかったのはちょうど1年前である。もし日本にこの決定力があれば、9月にスタートするワールドカップのアジア最終予選など楽勝続きになるに違いない。
前半の終盤に香川が相手と激しく体をぶつけてボールを保持しようとし、腰を強打して宇佐美と交代。後半、ハリルホジッチ監督は岡崎に代えて金崎夢生、小林に代えて浅野、清武に代えて原口元気、長谷部に代えて遠藤航、そして吉田に代えて昌子源と若手を送り込んだ。
後半の序盤で6―0と大差がついたこともあって攻めが雑になり、同時に守備の甘さも出て2点を失ったが、最後に浅野が見事なテクニックを見せてPKを誘い、自ら決めて7―2とした。
後半は9本のシュートで3点。「決定率」は50%から33%へと落ちた。だがこれでも悪くない数字といえる。どんな試合でもこの程度の決定率になるよう、個々の努力が必要だ。
後半、攻守ともに雑になったのは、「甘さ」あるいは「若さ」ではあるが、ある程度は仕方がない。