週末を控えた米東海岸の事務機器メーカー。オフィスのパソコンに向かう営業担当者に、1通の電子メールが届いた。
「フランクへ。君は今週、2件で4万2550ドルの契約をとって、26社の潜在顧客と接触したね。素晴らしい成績だ。でも、まだ年間ノルマの達成ペースからは遅れているよ」
上司からの厳しい指摘にも見えるメールだが、“送り主”は人間ではない。米ノースカロライナ州のIT企業、オートメーテッド・インサイツが開発した人工知能(AI)「ワードスミス」が、自動で作成した社員の管理・評価書だ。
ワードスミスは高度な情報処理技術により、さまざまなデータベースに基づいて人間顔負けの自然な文章を作成する。「データを基に、特化した個別の文章を作成できるのが強みだ」(同社のジェームズ・コテッチ氏)という。さながら“AI管理職”のようなこのシステムは、米イリノイ州に本社を置く個人向け保険大手、オールステートですでに導入されている。
同様にワードスミスを導入したAP通信は、企業決算のデータベースを基に、AIが売上高や利益、市場予想との対比など必要なデータを自動で抽出し、決算記事をわずか1〜2秒で作成する。現在は、AIが執筆した4千本あまりの決算記事を配信している。
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