全国17都道府県のコンビニATMで、2時間あまりのうちに現金計20億円近くが不正に引き出された事件では、用意された偽造クレジットカードや犯行現場の多さから周到な計画がみてとれる。発覚後に逮捕された男2人は「指示役」の存在を供述しており、各地に張り巡らされた犯罪網が浮かびつつある。海外カード対応のATMは増加が見込まれる一方、セキュリティー対策で遅れがあるとされる日本。捜査関係者は「国内が犯罪しやすい場所と思われてはならない」と組織の実態解明を急いでいる。
「損害額は推定で約3億ランド(約21億円)に上る」
南アフリカのスタンダード銀行は23日、顧客情報の流出を認め、事件の被害額を発表した。
同行が発行するクレジットカード情報1600枚分がなんらかの経緯で漏れ、偽造カードが作られた。それが日本国内のATMで使われ、現金が大量に引き出されたとみられる。事件の実質被害者は同銀行となる。
引き出しに使われたATMは東京、神奈川、愛知、大阪、福岡などの約1800台。海外カードが利用できるセブン銀行、ゆうちょ銀行、イーネットのものだった。
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