日本を代表する銘柄がズラリとそろう東証1部で外国人売りが吹き荒れた今年3月、新興株が取引されている東証マザーズ市場では海外勢が逆に買いの主役を演じた。同月のマザーズ市場における外国人の売り買いは差し引き140億円余りの買い越しと、3カ月ぶりに買いが売りを上回った。売買代金は活況の目安とされる1000億円超えが常態化した。
多くの海外勢の資金を引き付けたとみられるのが、創薬バイオベンチャー、そーせいグループ <4565> 株である。同社の株価は昨年9月下旬から今年5月上旬までの約7カ月半で7倍強に急騰。「バイオ分野のソフトバンク」とも称される積極的なM&A戦略を通じた、アルツハイマー治療薬などの成長分野強化策が投資家にアピールしたとみられる。時価総額は3500億円を超えてマザーズ上場銘柄トップだ。
ただ、UBS証券の大川智宏エクイティ・ストラテジストは「成長期待のある銘柄がマザーズ市場にしか残っておらず、そこへ矛先の向かった側面がある」と話す。そっぽを向かれた主力株のマーケット。「1部銘柄売り・新興株買い」という構図は、日本株相場全般に対する海外勢の失望の裏返しでもあるのだ。
■ 海外の長期投資家は日本株を見限った?
外国人投資家が日本のマーケットのメインプレーヤーであるのは疑いないところだろう。直近の売買シェアは7割超に達する。外国人が買い出動すれば日本株は上昇し、売りに転じると株価も下落。海外勢の投資姿勢が相場の趨勢を決める。
2012年11月から始動した「アベノミクス相場」もしかり。「対内証券投資」のデータを基にはじき出した同月以降の累積買越額は15年夏に24兆円まで膨らんだ。日経平均株価も軌を一にして上昇し、累積買越額がピークに達する直前の6月24日の取引時間中にはアベノミクス相場の高値2万0952円を付けた。
それ以降は上値の重い展開が続き、今年2月には一時1万5000円割れ。累積買越額も昨年の秋口からは減少傾向をたどり、今年3月には13兆円台と13年10月ごろの水準へ逆戻りしてしまった。
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