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四之宮兄妹は吸血鬼 作者:黒月
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夕暮れと嘘つき

4月5日。血の共有、一日目。

あの後、俺達は政司と一緒に三人で帰った。
結局、吸血鬼は捕まってないらしい。だから今日は学校は臨時休校。家では俺と咲良だけ。
俺と咲良はキッチンで皿洗いの最中だ。
普段、両親は海外で仕事をしている。なので大抵家では二人きり。
昨日のこともあるからかなり気まずい。
・・・暇だしやるか。

「あ、俺ちょっと出掛けてくるわ」
「ふぇ?どこ行くの?」
「ちょっとコンビニまで。洗顔切れてたの忘れてた」
「あ、うん。行ってらっしゃい」
と言って、咲良は玄関で俺を見送った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・・・というのはただの嘘で、いや実際洗顔切れてたからいい口実ができた訳だが。
俺は近所のコンビニに入った。
「いらっしゃいませ~って、四之宮くん!?」
「あれ?北上さん?知らなかったな~こんなとこでバイトしてたんだ」
彼女は北上 玲奈(きたがみれな)。黒髪ショートボブと黒渕メガネがチャームポイントの女子。去年までは一緒のクラスでたまに勉強を教えあった仲だ。しかし、
「北上さん、分かってると思うけどウチの学校は3年からしかバイトはできない校則だよ?」
「~~~ッ!お願い!他の人には黙ってて!」
「いいよー」
「え?いい、の?」
「うん、日頃から北上さんには勉強手伝ってもらってるし。でも、バレても俺は知らないよ?」
「うぅ、やっぱり四之宮くんは優しいよぉ~」
「そんな事ないって。じゃあ明日学校でね」
「うん、じゃあね。ありがとうございました~」

さて、さっさと用事を済ませてかえろ・・・

ドンッ!

なんか、金髪でグラサン掛けた厳ついおっさんに当たったみたいだな。とりあえず謝っとくか。
「ッ!す、すみませ・・・」
「おい、お前!桃源高校の生徒だよな?」
「そ、そうッスけど?」
「ちとツラ貸せや」
「・・・・はい」
俺はそのまま、路地裏に連れ込まれた。
・・・面倒なことになった。何で洗顔買って帰ろうと思ったのに、不良に絡まれんだよ!?
でも都合がいいな。聞いてみるか。
「ちょっといいッスか?」
「あぁ?」
「あんた、吸血鬼か?」
「・・・・」
男は無言でサングラスを外し、その紅い目を露にした。
(なんだ。やっぱカラコンか)
「そうだよガキ、怖ぇだろ?金置いてけや。見逃してやるよ」
薄々気づいていたが、きっと脅して金を巻き上げるつもりだったんだろう。
一度、下手に回ってみよう。
「いやあ、すんません。金はなくて、なんとか見逃してくれませんかね?」
「あ?テメーがレジ袋持ってるってことは、買いモンの帰りだろ?金、持ってんじゃねぇのか?ああ?」
「あ・・・」
しまった、忘れてた。俺って嘘つくの下手だな~。

━━━━━仕方ない

「おにーさん、あんたが金を巻き上げようとしてる相手が、吸血鬼だったら・・・どうする?」
「ハッ!そんなハッタリ通じるわけが・・・・!?」

━━━━━殺そう━━━━━

俺は、左目に意識を集中する。

左目の視界が紅く、紅く染まっていく。

「な!?まさか、吸血・・・・
「あまり大きい声は出さないでくれよ。人にバレたらどうしてくれる」
男の声はそこで止まった。何故か?

俺が、男の首を、引き千切ったからだ。

「はぁ~、参ったな。返り血浴びちゃったな。それにしても、教頭から特徴聞いておいて良かったー。
さ、かえろかえろ!」

青年は何事もなかったかのように、薄暗い路地を抜け夕日が差し込む道を進んでいった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
四之宮家━━━

「ただいまー」
「お兄ちゃん!遅いよ!二時間もどこ行ってたの!?連絡しても繋がんないし・・・」
咲良は怒っていたが、恐らく匂いで気付いたんだろう。血の匂いに。結局返り血も落としていないし。
「お兄ちゃん・・・?まさか、殺して、ないよね?」
俺は咲良を抱き寄せ、答える。
「・・・殺してないよ。ちょっと、他の吸血鬼に襲われちゃって」
咲良は泣きそうな声でもう一度俺に問う。
「・・・ホントに?・・・ホントに、殺してないの?」
俺は答えながら咲良と向き合い、目尻に溜まった涙を親指で拭った。
「ああ、殺してないよ。それに可愛い妹に嘘なんて吐くわけないだろ?」
「・・・グスッ・・・うん・・・」
「信じてくれた?」
「・・・うん。ごめんね、お兄ちゃん」
「いいよ。よし!時間もいい位だし、夕飯にしよう!何食べたい?」
「・・・ハンバーグ・・・」
「よし!じゃあ作るから、待っててな?」
「うん!」
咲良の目には涙はない。満面の笑みで答えてくれた。


━━━しかし、寝る間際にあんなことになるとは、誰も予想しなかっただろう━━━
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