本は紙派を豪語していた私ですが、この度、Amazonが出荷/発売をしている、Kindle端末(具体的には、Kindle Paperwhite)を購入した事をここにご報告致します。
紙媒体にこだわっていた私の心境の変化と、端末購入にかかる諸葛藤について、せっかくなので赤裸々に語りたいと思います。
Kindle Paperwhite Wi-Fi + 3G、ブラック
- 出版社/メーカー: Amazon
- 発売日: 2015/06/30
- メディア: エレクトロニクス
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紙の本の楽しみ方
前述の通り私は、本は紙派の人間です。それは、今でも変わっていません。
紙のページを捲るときに指先で感じる感覚や、ふわりと香る紙特有の古い匂い、栞を挟むときに目視する物語全体の進行状況など、紙媒体の本は五感をもって楽しむ事ができます。
例えば、仕事において、パソコンの画面を通して資料の確認をするのと、プリントアウトして紙で確認をするのでは、俄然後者の方が見直しがしやすいと思います。校正の観点でもまるで違って見えるように、紙と人との相性は非常に良いのです。
これは一覧性に優れた紙のメリットと、長年紙に触れて教育されてきた賜物だと思いますが、紙には紙のデメリットがあることも否めません。
その頂点が、既に語り尽くされていると思いますが、物は物であり、嵩張ってしまう事です。また、紛失や劣化していくリスクもあります。(付箋やメモ書きを想像してもらうと分かり易いと思います。物としての本質は、広義の意味では変わりません。)
メインは小説以外の本を持ち運び読むため
私は普段あまり読まない類ですが、自己啓発本や、実用書は電子書籍としてのメリットを最大限に甘受できると判断致しました。
特に、最近Kindle版が刊行された、投資家のバイブル「ウォール街のランダム・ウォーカー」の様な、紙媒体では分厚い本は普段から持ち歩くのは、とてもじゃないけど現実的とは言えません。
人は心も体も身軽でありたいものです。
私の場合、よほどの長編作品でない限り、小説は長くとも3日程度で読み終わります。だからこそ、持ち歩くことは全く苦としないのですが、実用書はその性質から読む頻度や物理的な重量を勘案すると、電子書籍がベストな選択の様に思えます。
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉――株式投資の不滅の真理
- 作者: バートン・マルキール
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/04/29
- メディア: Kindle版
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まずは、スマホのKindleアプリを試してみる
前述の投資本を含む、何冊かの実用書を予めiPhoneやiPadのKindleアプリで読んでいましたが、今更ながらこれは素直に便利と感じました。
どこでもスマホをサッと取り出す、慣れ親しんだ動作に、Kindleアプリの起動ですぐに読書が始められる。
こういう体験は、わざわざ電子書籍にお金を出さなくとも、AmazonのKindleリーダーアプリ(無料)とKindleストア内にある青空文庫(無料)を利用すれば、Kindleによる読書体験が始められます。
いつでも青空文庫と共に
AmazonのKindleストア内にある青空文庫(著者の没後50年を経て日本国内において著作権が消滅した文芸作品など)にアクセスすれば、夏目漱石や、直近では江戸川乱歩など、誰もが知る文豪の作品が無料で読めます。
著名な文豪の作品が、いつでも読める青空文庫。
その設立は1997年(Wikipedia調べ)からと、かれこれ20年近く前から存在し、インターネットを通して文豪達の作品が無料で読める事は、知っていました。
しかし、当時はパソコンの画面を通して横に並ぶ文字を追いかけるのに、ウンザリしてしまい、うまく活用する事ができませんでした。それが、このKindleアプリを通して読むと、その読みやすさに驚きます。
中学くらいの頃、夏目漱石の『こころ』を読んで、深い感銘を受けたことがあります。
具体的にどういう風に、と問われると、それは過去の私の記憶の一部のため今ではうまく答えることができません。しかし、正に心に残る一冊であった事は間違いないと今でも断言できます。大文豪と呼ばれた作家の一節一節にはそれだけの力があります。
- 作者: 夏目漱石
- 発売日: 2012/09/27
- メディア: Kindle版
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スマホやタブレットでは目がとても疲れる
さて、そんなわけで本の一部を電子書籍にアウトソーシング(外部委託)し始めた私ですが、暫くはKindleアプリで十分と思っていました。
悪い癖なのですが、私は読書に没頭し始めると、本以外の景色が見えなくなりますし、外部の音が一切聞こえなくなります。(お陰で電車を乗り過ごしたことも数知れず…ですが本記事の趣旨から外れますのでここでは割愛します。)
それだけ没頭しているので、ふと、画面から目を離すと、驚くほど目が疲れている事に気付きます。便利な反面、とても困ったのが、この目が疲れるという点です。
白紙のページに、読み取れない文字が浮かび上がる始末ですので、相当に目を酷使しているのは間違いありません。
目は剥き出しの脳みたいなものらしく、とてもセンシティブな器官の一つです。ブルーライトが科学的に体に悪影響を及ぼすとか、色々あるらしいのですが、細かいことはともかく、疲れるのは間違いないし、体に良くない事をしている事は誰にでもわかります。疲れることで体によい影響があるものなんて、運動ぐらいかと。
既に多くの諸先輩方が、Kindle専用端末では圧倒的に目が疲れにくいとの経験談を報告していらっしゃいますので、目に優しく電子書籍を長時間読む方法は、ある意味これしかないと思いました。
Kindle端末を手にしてみて
私が購入した端末は「Kindle PaperwhiteのWi-fi + 3Gモデル キャンペーン情報無し」です。(モデル選びに悩んだ事は、別の記事で書きたいと思います。)
コンパクトさではスマホには到底敵いませんが、さすがは電子書籍専用リーダーという事もあり、徹底されたシンプルさには好感が持てます。
はじめこそスマホと異なる操作や、動作速度に戸惑いましたが、とどのつまり電子書籍リーダーですので、小一時間ほど触ると慣れました。
ザラリとしたノングレアな(光沢の無い)液晶の手触りからは、徹底して、私のような本は紙派の人間がシームレスに(違和感なく)、電子書籍に触れる事まで想定されているように感じます。
さっそくKindle端末で1冊の電子書籍を読んでみて
さっそく手にして数時間の間に1冊の本を読んでみました。
紙の本では両開きで読むのが普通である一方、Kindle端末では片ページずつ読んでいく事になるのですが、スマホのKindleアプリでも感じたのですが、思ったほど違和感はありませんでした。(漫画のような絵を主体とする本の場合は、一種の制約事項になりそうですが。)
そして思った通り、目の疲れは全くと言っていいほど感じる事なく、読了に至る事ができました。
これは狙い通りで実に嬉しい、新しい読書体験です。
これからの読書の方向性
ここまで、Kindle端末を購入に至るまでの経緯、そしてKindle端末を通した読書体験について語りました。
しかし、この記事のタイトルにも書いているように、私は本は紙で読む方が好きです。この考えは、Kindle端末を購入した今でも変わりません。
紙の本を買いなよ。電子書籍は味気ない。
本はね、ただ文字を読むんじゃない。自分の感覚を調整するためのツールでもある。
調子の悪いときに本の内容が頭に入ってこない事がある。そういうときは、何が読書の邪魔をしているか考える。
調子が悪いときでも、スラスラと内容が入ってくる本もある。何故そうなのか考える。
精神的な調律、チューニングみたいなものかな。
調律する際大事なのは、紙に指で触れている感覚や、本をペラペラ捲ったとき、瞬間的に脳に神経を刺激するものだ。
これは、私が大好きなアニメ『PSYCHO-PASS』第15話における、槙島聖護のセリフです。昔から本が好きだった私が、紙の本がどうして好きなのか、このセリフが全てを表現しています。
とは言いつつも、新しいものも取り入れ、時には古いものを捨てながら最適化していく事で、暮らしは進化し心は豊かになります。
私の読書の切り分けは、小説は従来通り紙の本、実用書や自己啓発本はKindleへ移行したいと思います。
願わくば、紙の本を買えば漏れなく電子書籍もサービスされる、そんな時代がいつか来る事を願いたいところです。
Kindle Paperwhite Wi-Fi + 3G、ブラック
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