5月28日号のThe Economistは、先ごろヒロシマを訪問したオバマ大統領の当日の動きについて型どおりの報道をしています。記事に対して140本を超える読者コメントが寄せられていて、真摯で正鵠を得たものからデマゴーギーのつぶやきまで全く玉石混交状態なのですが、その中で目を引いたのが2002年のGuardian誌が行ったというエノラ・ゲイ号のティベッツ機長へのインタビュー記事の抄訳でした。
1948年にトルーマン大統領と面会する機会を得た同機長は、型どおりの祝福が終わり退席する直前に大統領から「(この原爆投下を)どう思うかね?」と聞かれたのだそうです。機長は答えて「大統領、私は命に従いました。」と言ったところ、「全くその通りだ。私があなたを送った人間だ。それについてとやかく言う人たちがいたら、私のことを引き合いに出しなさい。」と言ったのだそうです。
オバマ大統領も、今回の訪日前そして最中も、スピーチの中で「リーダーの役割」について触れていましたが、それはたぶんそういうことなのだろうと思います。
私たちが生きている日常の暮らしにおいても、ことの大小はあるのかもしれませんが、「リーダーの役割」が「残す心」の重さに耐えることであるという事例は少なからず目にすることがあります。競争社会においては、リーダーのこのような素養にスポットライトが当たることは必ずしも多くないのかもしれませんが、危機管理そしてダメージマネジメントを議論するうえで実は有用な知見だと思われましたので、敢えて取り上げさせていただきました。