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「アモーレ祭りの裏側で密かに進んでいる、ハリルホジッチジャパンの第二段階」キリンカップサッカー2016 準決勝 日本-ブルガリア

試合中のTwitterタイムラインが、ゴールとそれよりはるかに多いアモーレで埋め尽くされるぐらいにお祭り状態になってしまったブルガリア戦。

正直言って、ブルガリアのコンディションは明らかに悪く、寄せが遅くて日本のボランチを自由にプレイさせてしまうぐらいのゆるゆるプレス強度で、横にボールを動かしたらあっという間にDFがボールウォッチャーになってしまう始末だったので、日本の強化という点ではほとんど意味が無かったわけだが、ハリルホジッチがこれからどういうサッカーをやろうとしているのか、かなりはっきり見えて来たという意味では収穫の多い試合だったと思う。

まず一目見て分かるのはDFラインが積極的に押し上げて前線からの距離がコンパクトに保たれているという点で、1トップの岡崎とトップ下の香川が連動してブルガリアのCBにプレスをかけてパスコースを限定させ、日本のCBががブルガリアのFWを、ボランチが同じく相手のボランチをしっかりマークする事で、ブルガリアのビルドアップを阻害し、縦に入ったボールにはCBが当たりに行くと同時に2列目がプレスバックしてボールを奪うという連携が非常に良く機能していた。

そして相手が中盤で前を向いた状態の時は、4バックが内側に絞って使われやすいCBとSBのスペースを無くし、4バックの両側に空いたスペースにはSHかボランチが下がって5バックのような形でラインを埋め、ブルガリアにサイドの高い位置で基点を作らせない、フリーでクロスを上げさせない狙いがはっきり見えていた。

攻撃では、ビルドアップ時には長友と酒井の両SBがかなり高い位置に上がって基点を作り、ブルガリアの守備をボールサイドに寄せたところで逆サイドにボールを振る。その時に清武や小林悠のSHが中へ入ることでSBの上がるスペースを作り、逆に日本がフリーでクロスを上げられるようにする。2点目の香川がヘディングを決めたシーンはまさしくこの形である。

今までのアジア予選の相手がベタ引きだったとは言え、ハリルジャパンがここまで戦術的に明確な狙いを持って臨んだ試合はこれまでに無かったわけで、2年目にしてハリルホジッチは日本代表の強化にとって新たなステップを踏み出したように思う。

ただし大勝の中に課題が無かったわけではない。ラインが高くてコンパクトと言うことは、ミス1つで一気にゴールまで持って行かれる危険性と表裏一体であり、日本が今回喫した2点はいずれも集中力を欠いたミスからである。特にこの試合は縦パスをクサビで落としたボールに呼吸が合わない場面が多く、強豪相手では即失点に繋がってしまうパターンである。

またラインの高さも前線からのプレスがあって初めて保たれるわけで、前半の岡崎と香川の連動は素晴らしかったが、後半から入った金崎はプレスに行くタイミングが周りと合っておらず、相手のボランチまで簡単にパスを通されてしまっており、後半に失点が増えた1つの原因だろう。小林悠は一生懸命動き出しているのに周りが彼を使えず、原口は自己アピールなのか空回りしてPKを与えてしまい、長谷部が抜けるととたんに守備がバタバタするなど、レギュラー組との戦術浸透度、コンビネーションの格差は明らかだった。

あとは疲労の問題。これだけ攻守における連動が求められるサッカーになると、1人の人間の疲労やサボりが試合に大きく影響する。香川が怪我で退場した後日本はしばらく10人だったが、岡崎1人だと前線のプレスが効かなくなってブルガリアにあっという間に中盤でボールを持たれてしまった。後半は浅野と宇佐美になってサイドの守備力が落ち、柏木に疲れが出たらすっかり守備のコンパクトさが失われ、交代で入った遠藤が1人広いスペースの中で右往左往していた。そういう時にチームとしてどうカバーリングするのか。中東などの暑い気候でプレッシングが出来ないという状況も想定しておく必要がある。

と、つい天邪鬼な私は文句ばかりを書いてしまったけど、まあ昨日はアモーレでハッピークロスの日で良ししとこうか(笑)。お祭りは昨日だけにして、決勝のボスニア・ヘルツェゴビナ戦ではきっちり締まった試合を期待したいね。

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2016/06/04 | 日本代表

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