非婚化や少子化を巡っては「嘘・大げさ・紛らわしい*1」主張が溢れています。「男女に生まれつきの違いはない」というポリコレ*2信者の信念が、「一夫一妻・男女分業」という人間の生物学的な基本形に反するため、嘘を強弁せざるを得ないためです。
先日には、「日本は男女の賃金格差が大きい→女の上昇婚志向が強くなる」という記事を見掛けましたが、このロジックが転倒していることは過去記事で分析済みです。
ちなみに、その記事では「もてない男は性的魅力と収入に欠ける」と主張されていましたが、そんなことは当たり前です。問題は、男女同等の社会では男が性的魅力不足を経済力で補いにくくなるため、構造的な男女のミスマッチが拡大することです。性的魅力の相当部分は生まれつきであることも考慮すると、「個々人が性的魅力を高める努力をすればよい」というのは、緊縮政策によって大量の失業者が発生している際に「失業は個人の能力不足が原因」「個々人が努力して能力を高めれば失業は解消する」と主張するようなものです。
女が男と同等に稼ぐようになれば結婚難も解消するとも主張していますが、
30~40代の有配偶女性のうち,「主たる家計支持者」の割合。タイでは,半分以上の女性が「自分が主たる家計支持者」と答えている。男の腕一本で家計を支えるという,日本の通念が相対化されますな。 pic.twitter.com/lrgM30QukE
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年5月10日
タイでは非婚化が急激に進んでおり、合計出生率も日本とほぼ同水準の1.4~1.5に急低下しています。特に、バンコクは香港並みの超低出生率です。「結婚するのが当然」という社会的圧力が弱い国では、女の経済力の相対的上昇は非婚化を促進するということです。
タイの男と結婚しなくなった一方で、北欧の(非モテ?)男との結婚は1990年代から急増しました。タイの女の上方婚志向は明白です。
ポリコレ色が強い『AERA』も「嘘・大げさ・紛らわしい」記事の宝庫です。
実は女性の働く割合が多いほど出生率も高い傾向がある。
国内では、島根や山形、福井など子育て中の女性が仕事をしている割合が高い都道府県のほうが、出生率が高水準。逆に神奈川や兵庫、埼玉などは専業主婦率が高く、出生率は低い。
これは、地方(田舎)は都会に比べて
- 親との同居・近居が多い→子育てを肩代わりしてもらいやすい
- 職住近接
ためであり、「女が働く割合を高めれば出生率も高まる」ことを意味するものではありません。
海外に目を向けるとスウェーデンやデンマーク、アイスランド、ニュージーランドのように女性の就業率が高い国はどこも出生率が高い。これらの国は、女性の社会進出が始まった1970~80年代頃までは少子化が進んでいたが、90~2000年代に入り、出生率が回復した。
このよく見掛ける言説も「嘘・大げさ・紛らわしい」ものであることは、下の記事で分析済みです。
アイスランドの出生率が高い一因は、国全体が日本の地方(田舎)のようなものであるためです。また、合計出生率の一時的な低下は、出産時期が遅れることによるもので、コーホート出生力が女の社会進出支援によって上昇したわけではありません。
次の記事は「女は生涯で2億円も損させられている」と言いたいようですが、
定年まで正社員で働き続ける人と、出産・育児で仕事を中断し、非正規で再び働く人では、生涯賃金で2億円の差があると言われる。
「損失」と引き換えに、子育てする時間は多く持てます。子育てそのものに価値を見出していないから、損失としか認識できないのです。
子育てはカネを稼げない「負の価値」の労苦(奴隷的労働)というリベラルの認識は、拝金主義そのものです。少子化を憂えているかのようなリベラルですが、子育てに正の価値を与えない(リベラル&ネオリベラルの)拝金主義が少子化の一因であることを見逃してはならないでしょう。
参考
フェミニストが出鱈目な統計を平気で使うことを指摘した記事。思想の根本が狂っているので、嘘に嘘を重ねざるを得ないわけです。