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 交際相手の女性の首を包丁で刺したとして、殺人未遂罪に問われたペルー国籍の男性被告(33)に対する裁判員裁判の判決が3日、名古屋地裁であった。鵜飼祐充(ひろみつ)裁判長は「故意に刺したと認定するには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡した。愛知県内での裁判員裁判による無罪判決は初めて。

 被告は昨年7月18日未明、愛知県半田市内で、同居していた40代女性の首を包丁で刺したとして起訴された。公判で被告側は口論の末、台所の包丁を取ろうとした女性ともみ合いになり、先に被告が包丁を手にしたところ「近づいてきた女性の首に刺さった」と主張し、殺意を否認した。

 鵜飼裁判長は、被害女性の証言について「馬乗りになられた際の説明に具体性が乏しい」として、信用性を否定。女性のけがの状況などからも「被告の説明する状況で、首に刺し傷が生じた可能性を否定できない」と結論づけた。