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【首都スポ】

19年ラグビーW杯の星・松田力也

2016年6月4日 紙面から

キックだけではなく自ら突破もしかける帝京大の松田(5月15日の流通経大戦で)=日野市の帝京大グラウンドで

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 2019年W杯は任せろ! 昨年のW杯で南アフリカを破るなど世界を驚かせたラグビー日本代表が、11日のカナダ戦、18日と25日のスコットランド戦に向け、4日に集合する。アジア選手権を戦った若手中心のメンバーに、サンウルブズや海外のチームで戦っていた中堅・ベテラン勢が加わり本格的に始動する。注目は初招集された帝京大4年のSO松田力也だ。ルーキーイヤーから無敵の大学王者のSOを務め、栄光をほしいままにしてきた次世代司令塔が、ついにジャパンデビューを飾る。 (文・写真=大友信彦)

 右足から蹴り放たれた楕円(だえん)のボールが、美しい放物線を描き、Hポストへ吸い込まれる。スタンドから「おおっ」とどよめきが上がる。だが、松田力也はそこを見ていない。見ているのは地面に立てたボールだけ。右足がボールをとらえて蹴り抜いても、フォロースルーの役目を終えた右足が地面に戻ってきても、松田の目線はボールの置いてあった位置を見たままだ。

 「いつも意識しているのはヘッドアップしないことと、体が開かないようにすること。毎回同じ感触で蹴ること。自分のテンポで、リラックスして蹴るようにしています」

 無敵の学生王者・帝京大の司令塔は学生最強キッカーだ。帝京大では2年時までは、2学年先輩の中村亮土に次ぐ第2キッカーだったが、3年の昨季はメインキッカーを拝命。対抗戦7試合で154得点して断トツの得点王に輝いた。これは1996年に対抗戦が現行方式になって以降の最多記録だった。今春の大学春季大会でも、初戦の中大戦で13度のキックをすべて成功させるなど、4試合で45本蹴って41本成功。成功率は驚異の91%に達する。

 武器はキックだけではない。広い視野でパスを出して味方を動かし、正確なキックでFWを前に出す。スペースがあれば、伏見工時代はFBを、帝京大1年時はWTBも務めたスピードで自ら仕掛けてビッグゲインを勝ち取る。

 その松田が、待望の日本代表入りだ。

 「うれしいです。ずっと目指してきたところですから」

 代表入りの報を聞いた感想を尋ねると、松田は笑顔で付け加えた。

 「ここはゴールじゃなくて、スタートですからね」

 テレビで見た昨年のW杯についても「勇気をもらいました。次は自分の番だと思っています」と穏やかな口調で強気の言葉をはく。

 一緒にプレーするのが楽しみな選手は?

 「W杯で活躍された方々から、盗めるものは盗みたい。特にSO小野晃征さんは、相手に向かって仕掛けながら、ゲームをコントロールする力が素晴らしい。そういうところを自分はもっと学ばないといけないですから」

 日本代表は4日、東京都内に集合し、5日午前に一度練習して夜便で出発。11日にバンクーバーで行われるカナダ戦に向け現地で練習する。帰国後、今度は18日と25日にW杯の雪辱をかけたスコットランド戦が待つ。

 「全部楽しみ。いいコンディションで臨みたいです」

 細い目が光った。失うものはない。次世代司令塔のチャレンジが始まる。

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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