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【再延期の波紋(上)】
「戦力外通告」の財務省、最後まで蚊帳の外 増税の「誤ち」認めず官邸が不信感
それでもなお、「過ちを認めず、景気浮揚策も示さない」(同)財務省の対応は、経済再生を急ぐ政権に公然と異を唱えているように映った。再延期判断で首相が重視した国際金融経済分析会合や、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に、財務省はほとんど関与できずに終わった。
財務省は劣勢を打開しようと、来年4月に10%への引き上げを前提に「2年で計20兆円規模の財政出動」を官邸に打診した。財政規律を重視する財務省にとって前代未聞の「奇策」(幹部)だったが、遅きに失した感は否めない。
麻生太郎財務相は5月、首相に「3度目の失敗は許されない」と進言。9年の消費税率3%から5%に引き上げ、26年の5%から8%への増税後、ともに経済が失速したのを踏まえ、増税回避を首相に示唆している。表向き、麻生氏が増税を主張し続けたのは「財務省職員への配慮」(官邸関係者)にほかならない。
財務省は「消費税増税を2段階に分けた時点で負けは決まっていた」(幹部)と強がるが、長期政権を見据える首相からの“戦力外通告”を払拭するのは容易ではない。(小川真由美)