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 アジア・太平洋地域を中心に35カ国の国防大臣らが意見を交わす「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」(英・国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)が3日、シンガポールで始まった。中国軍の代表団は初日から各国と精力的に個別会談を行い、南シナ海問題での中国の立場に理解を求めた。

 中国軍代表団は海軍エリートの孫建国・中央軍事委連合参謀部副参謀長(上将)をトップに海軍出身の幹部が占めた。中国が主催する会談の場では、南シナ海問題に関する中国の立場をQ&A形式で説明した冊子と中国軍をPRするDVDを配布した。

 孫氏はベトナムのグエン・チー・ビン国防次官と会談し、冒頭で「昨年4回会ったあなたは、もう私の古い友人だ」と笑顔で迎え、先に発言するよう促す配慮も見せた。

 中国国防省は会談後、ベトナムが最重要軍事拠点のカムラン湾に中国軍艦の訪問を受け入れる意向を示したと発表。「両国海軍が海上捜索などの合同訓練を強化する方針で一致した」と連携ぶりを強調した。一方、中国側は南シナ海問題については言及を避けたが、ビン氏は会談後、記者団に「(南シナ海の)問題解決のためどう協力できるか話し合った」と述べた。

 孫氏は豪州、インドネシア、ニュージーランド、ブルネイ、ロシア、シンガポール、タイの国防相や軍高官とも会談。中国国防省によると、孫氏は南シナ海問題での中国の立場を説明し、理解を求めた。(シンガポール=倉重奈苗、今村優莉)