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第一章 『プロローグ』
その場所を何かが通った様に木々がなぎ倒されている。
それはかなりの大きさだ。横幅にして十メートルを越える。
何も知らない人が見ればそれは隕石か何かと思うだろう。
しかし、それは間違いだ。
この惨事を起こしたのは単一の何かだ。およそ人と呼べるものではなく。
英霊、世界に刻まれた物語、災害、歴史が像を成したもの。
人々がそれを畏れ、崇めたもの。まさにそれがこれを成したのだ。
「ハハハハハハッ!今のを耐えるか巨人!」
四頭の巨躯の馬が引く巨大な戦車に跨り笑みを絶やさず男が笑う。
そう、紛れもなくこの男が先ほどの惨事をしたのだ。
相対する巨人は己の体に付けられた錠前が砕け散るのを見ると手に持つ細剣を横に振る。
それだけで前方一面が火の海に変わる。その海を巨躯の戦車で駆ける男。
「ハイヤー!駆けろ馬達!やつを食い殺せぇ!」
手綱を振るい、拍車をかける。四頭の馬はそれに応え速度を上げる。
巨人は剣を収めると両手両足に力を込める。
そして迫り来る戦車に真っ向から立ち向かう。
「ハッ!その意気や良し!」
そして衝突する。それによって周りに衝撃が走る。
巨人は両手で二頭の馬の首を掴む。残った二頭が巨人の腕に噛み付く。
「ぐぅぅ…」
巨人が呻く。その漆黒の肌から血が流れる。
「良い呻きだ、もっと聞かせろ!」
男は拍車をかける。馬達が押し始める。巨人が徐々に後退し始める。
その巨躯を、およそ五メートルはあろうかと言う巨躯を押し戻す光景は見るものを圧倒する。
これが、これが聖杯戦争なのか…と、この光景を見ていたものたちは一様に思った。
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