以前、秋葉原のレトロPC・ゲーム専門店"BEEP秋葉原店"を紹介した。そのとき筆者は、店長の駒林さんという人物に興味を持った。まだ20代という若さで、レトロゲームの知識が半端ないのだ。この、自分が生まれる前に発売された'80年代レトロゲームへの博識ぶりは、頭がパンクするくらい勉強しているはず。素晴らしい。ということで今回は、駒林さん自身に焦点を当てていろいろと話を伺ってみた。
もともと駒林さんは、アーケードゲームの基板コレクターだったという。
「最初は僕も"BEEP"で基板を買っていた客だったんですよね。大学を卒業して普通の会社に就職したのですが、ゲームで仕事をしたいという思いが日に日に強くなり、以前から面識のあったBEEPの社長に懇願して雇ってもらい、現在に至ります」
とのことだ。
"BEEP"で働くようになってからは、店のメイン商品となるレトロPCゲームに関して猛勉強したそうだ。そして情報を頭に詰め込むだけでなく、実際に'80年代のPCゲームを遊んでいるというから頭が下がる。
「自分の生まれる前の知識も必要になりますし、買い取りで持ち込まれる古いPC誌を読みまくりました。持ち込まれたゲームも、検品時に気になるものは遊んでいます。オークションなどで個人的にレトロゲームを購入して遊んだりもしていますよ」
駒林さんのレトロゲームの知識は、仕事として勉強した部分以外に、自身が興味を持ち追及していった結果蓄積されたところも多大にあるという。事実、レトロゲーム談議をする駒林さんはじつに楽しそうだ。談義中に筆者に見せてくれたあの笑顔は、本当にレトロゲームを愛していないと出ないと思う。
【写真】"BEEP"店内にはマニア垂涎のレトロPCゲームが並ぶ。右は駒林さん宅のご自身のレトロゲームコレクションだ。
そんな駒林さんがとくに好きなレトロPCゲームは、ハミングバードソフトのアドベンチャー。全作クリアーしたという熱狂ぶりだ。
「当時のアドベンチャゲームの、ひとつの謎が解けると世界がドカっと広がる感じが好きなんです。理不尽な謎があるゲームもありますけど、言葉探しとか、今そういうことも含めて楽しめますね」
と語る。
ひとつ白状すると、筆者は恥ずかしながら駒林さんより一回り以上年上である。年代的にレトロゲームの知識はそこそこあるつもりだが、駒林さんには到底かなわない。自分が生まれる前に発売されたゲームについてマニアックに語る駒林さんに対し、「そうそう、そうでしたよね！」と喜々として頷く40代のオヤジという構図はとても不思議だし、自分としてもなかなかにおもしろいと思う。素敵だ。ちなみに駒林さんの自宅には、個人の所有物としてPC-8801FAとX68000 XVIとMSX2+とFM77AV40とX1Gがあるらしい。ますます素敵だ。
【写真】"BEEP"とメーカーのコラボ品の展開にも期待！ 『Emmy』Tシャツと、ZOOM描きおろしX68000用キーボードカバー。
駒林さんいわく、ゲームの買い取りの仕事は２種類の喜びを味わえるという。「このゲームきた！」という欲していたゲームを入手した喜びと、「こんなゲームがあったの？」という新発見の喜びだ。とくに後者の場合は衝撃も大きく、動作チェックをしていたゲームが予想外のおもしろさだったり、ディスク版など出ていないと思っていたゲームのディスク版が持ち込まれたりなど、様々な形で"新しい発見"を味わっているとのことだ。
今回駒林さんを取材させていただき、"好きこそ物の上手なれ"という諺が、何度も筆者の頭の中を点灯した。まだ数回しかお会いしていない筆者が言うのも生意気だが、まさに駒林さんは"天職"に就いているとは言えまいか。こんな店長が日々楽しく奮闘する"BEEP秋葉原店"、レトロPCマニアなら訪れない手はないと言い切ろう。
【写真】レッドブルを片手にポーズを決めてくれたサービス精神旺盛な駒林さん。ネアカです(あえて'80年代の言葉で)。
最後にお知らせを。なんと近日、BEEPからゲーム雑誌が発行されるという。詳しくはコチラのブログで！
●BEEP秋葉原店
住所／〒101-0021 東京都千代田区外神田3-9-8 中栄ビル地下1階
TEL・FAX／03-6206-9116
営業時間／11:00〜20:00（金曜日のみ17:00~21:00）
定休日／水・木曜
公式サイト／http://www.akihabara-beep.com/
Twitter／@BEEP_akihabara