【コラム】「日本の汚れた手」を握った米国の現実重視

ベトナム、広島、李洙ヨン
日本にばかりこだわれば、韓国の視線は過去に向くだけ
現実と未来を変える米中の北東アジア・ゲームを韓国は断片的にしか見ていない

 韓国人はこうした論法を当然だと考えている。しかし、支配・被支配の善悪論理に慣れていない他国にとっては二律背反的に聞こえる可能性がある。韓国は「原爆投下を招いたのは日本だ」と信じている。「韓国人の犠牲が出たのも日本のせい」だ。そうだとしたら、韓国人原爆犠牲者慰霊碑への訪問を要求する対象は日本の首相ではないのか。それなのに、なぜ米大統領の訪問を要求するのか。米大統領の広島訪問を懸念して反対し、韓国人原爆犠牲者慰霊碑訪問を要求するのは矛盾ではないのか。こうした視点から、米大統領にいろいろな要求をする韓国をおかしいと考える人々が世間には存在している。

 ホワイトハウスは「オバマ大統領の広島訪問は原爆投下に対する反省や謝罪を意味するものではない」と何度も主張した。「日本の戦争責任に免罪符を与えるものでない」とも言った。日本政府や主なメディアもたった一言も、1行もそうした解釈をしていない。事実、オバマ大統領は謝罪しておらず、頭を下げてもいなかった。ひたすら、「核兵器のない世界」を強調した。オバマ大統領が韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪問しなかったことも、同じ脈絡で理解できる。韓国を無視しているからではなく、自身の訪問が歴史問題、特に植民地支配問題として解釈されたくなかったからではないだろうか。北朝鮮の核に対し丸腰で向き合ってきた韓国ほど「核兵器のない世界」を切実に必要としている国もない。「〈ああ ヒロシマ〉とやさしくこたえる」ことはできないが、そういう友邦をできるだけ理解すべきではないだろうか。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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